3つの資産を「均等保有」で盤石の守備力に

これら米国株と米国長期国債、そして金を1/3ずつ均等に保有する組み合わせを、「パーマネントポートフォリオ」と言います。

パーマネントとは永遠の、永続的な、という意味ですが、このポートフォリオは文字通り永久保有を目的としており、リスクを低減しつつ、リターンの確保が期待できます。米国株、米国長期国債、金は、それぞれが異なる値動きをする傾向があるため、こちらの過去5年間のグラフを見てください。

出所:Yahoo!ファイナンスより筆者作成。各ETFすべて2019年=100とした値。 対象期間は2019~2023年
[図表2]米国株、米国長期国債、金の値動きの比較 出所:Yahoo!ファイナンスより筆者作成。各ETFすべて2019年=100とした値。
対象期間は2019~2023年

全米株式のVTIは、過去5年で大きく上昇していますが、2020年のコロナショックの際には大幅に下落しています。

一方、米国長期国債のVGLTは、VTIと逆の値動きをしている傾向があり、コロナショックの際は値上がりしています。また、金であるIAUは、VGLTやVTIとは異なる値動きをしていながら、コロナショックの際には上昇基調だったことが分かります。

私の父は2020年の初めから、投資資金1,000万円を3分割して、333万円ずつVTI、VGLT、IAUに投資してパーマネントポートフォリオの運用を開始しました。

月末時点の残高で、2020年1月は1,025万円、2月は1,021万円と順調に推移していましたが、3月にコロナショックがありました。しかし、コロナショックでも月単位では、月末時点で1,003万円と前月比2~3%程度の下落で済みました。

米国株が下落しても、米国長期国債と金が値上がりしたことで、パーマネントポートフォリオの守備力の高さが証明されました。

そしてその後は株式相場も順調に回復し、2023年12月末時点の評価額は約1,569万円になりました。投資元本は1,000万円だったので、約569万円の大幅な含み益となっています。ただし、これは昨今の歴史的な円安による為替差益も含まれているので注意してください。

出典:『イラストと図解で丸わかり! 世界一やさしい新NISAの始め方』(KADOKAWA)より抜粋
[図表3]父のパーマネントポートフォリオ運用実績 出典:『イラストと図解で丸わかり! 世界一やさしい新NISAの始め方』(KADOKAWA)より抜粋

父の運用を見てきた自分の感想としては、パーマネントポートフォリオは、リスクを抑えながら手堅く運用していきたい人に向いていると思っています。

50~60代における新NISAの投資先としても、ぜひ検討してみてください。

小林 亮平
資産運用YouTuber