前回は、矯正歯科治療による歯の痛みの具体的な原因や対処法について紹介しました。今回は、歯列矯正の「痛み」「つらさ」と上手くつき合う方法について見ていきます。

矯正中の痛みは、ちょっとした気遣いで軽くなる

矯正装置を付けている間の痛みは、日常のちょっとした気遣いでだいぶ小さくすることができます。

 

たとえば骨付き肉やフランスパンなど、歯や矯正装置に負担がかかりそうな食べ物はなるべく避けます。強く噛む力をかけすぎると装置の一部を変形させる恐れもありますので、固いものはできるだけ食べないほうが無難でしょう。

 

また「固いものでも、小さく切って食べれば大丈夫でした」と言う人もいますが、そういう時に気をつけてほしいのは、食べ物は噛む位置を意識して上下の歯と歯で噛むようにし、装置の部分で食べ物を噛まないようにすることです。また、食物繊維の多い野菜や麺類など装置にひっかかりやすい食べ物を食べた場合は、うがいしたり、歯ブラシや歯間ブラシなど先が細い歯ブラシを使って、きれいに掃除しましょう。

 

ブラケット矯正の装置は自分で取り外しができず、装置があるせいで歯ブラシの届きにくい箇所も出てきます。歯に挟まりやすいものは、最初からあまり食べないようにしたほうがいいと思います。

 

矯正装置を調整したあとの数日間はどうしても痛みを感じやすいため、お粥やスープ、やわらかい麺類など、噛む力のあまりいらないメニューを摂るようにすすめています。

 

矯正装置を付けている間の口内炎を防ぐには、ビタミンB2、B6、A、Cが豊富に含まれた食材を積極的に摂るなどの予防策が考えられます。万一、口内炎ができてしまったとしても、痛みを和らげるための対処法はいろいろとあります。

痛みやトラブルがある場合は、我慢せずに医師に相談を

装置を調整し直すことで擦れている部分に当たらないように改善できますし、痛み止めを処方してもらうこともできます。

 

「ホワイトワックス」という、矯正装置をカバーする半透明の体に害のない粘土の様なものも開発されています。自宅でも簡単に使用できるものですから、矯正歯科医に相談すれば説明してくれるはずです。

 

いずれにしても、何らかの痛みやトラブルがある場合には、ひとりで我慢せず、すぐに矯正歯科医に相談するようにしましょう。きちんとした治療を心がけている矯正歯科医は、痛みに対する配慮も行き届いているものです。過去の治療経験で多くの「痛みの対処法」を蓄積していますから、その中で最適な方法をアドバイスしてくれるでしょう。

 

そして、痛みがゼロのまま矯正歯科治療を終えられる人はまれですが、もしつらくなったら矯正後の自分の姿を思い描いてください。「ウエディングドレスの似合う歯並びになるためだから」とか「これを乗り越えれば、ビーフジャーキーを思いきり食いちぎれる!」など、矯正後に楽しみをもっている人は痛みと上手につき合うことができます。

 

きれいな歯並びを手に入れたあかつきには、矯正中の痛みも自分が頑張れた証となります。矯正の経験自体が「いい思い出」といえるようになります。ぜひ、治療をポジティブにとらえていただきたいと思います。

国際人になりたければ英語力より歯を“磨け”

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宮島 悠旗

幻冬舎メディアコンサルティング

歯学博士であり、フリーランス矯正歯科専門医として活躍している宮島悠旗氏。両親ともに歯科医師という宮島氏にとって、口元のケアは当然のエチケットとして育てられてきたといいます。しかしながら世間を見渡せば、口元に気を…

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