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家族が亡くなったとき、残された人は悲しみに包まれますが、そのような心情に関係なく、遺産相続にかかわる手続きが待ち構えています。相続税は一定額以上の遺産がないとかかりませんが、遺産相続の手続きそのものは、遺産がいくらであっても(借金があってマイナスであっても)必要です。本記事では、遺産相続手続きで必要になる書類とその手続きを自身で行う場合の方法、それぞれの手続きを専門家に依頼したほうが良い場合とその費用の目安について解説していきます。

相続税申告手続きに必要な書類一覧

遺産が一定額以上ある場合、具体的には、遺産総額が「3,000万円+600万円×法定相続人の数」の金額を超えた場合は、相続人に相続税がかけられます。相続税の納期限は10ヵ月後なので、早めに手続きをすることが重要です。

 

◆必要書類

相続税の申告書は、被相続人の住所を管轄する税務署に提出します。相続人の住所を管轄する税務署ではないので注意しましょう。相続税申告手続きに必要な書類は次のとおりです。

 

・相続税の確定申告書

確定申告書の用紙は最寄りの税務署でもらうことができます。国税庁ホームページからダウンロードすることもできます。申告書の記載方法は、国税庁ホームページに説明があるほか、パンフレットなどをダウンロードすることもできます。

 

・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本

被相続人の死亡の事実と、被相続人と相続人の関係を確認します。被相続人の死亡から10日を経過した日以後に作成されたものを提出します。

 

・遺言書の写し(遺言書がある場合)

 

・遺産分割協議書の写しと遺産分割協議書に押印した相続人全員の印鑑証明書(遺産分割協議をした場合)

遺産分割協議書には、相続人全員が署名し、印鑑登録された印鑑で押印します。遺産分割協議書に押印された印影を印鑑証明書と照合して、遺産分割協議が成立していることを確認します。小規模宅地等の特例などを受ける場合は、これら以外にも必要な書類があります。

 

相続放棄の手続きに必要な書類一覧

相続放棄をするときは、相続があることを知った日から3ヵ月以内に被相続人の住所を管轄する家庭裁判所に申し出る必要があります。

 

◆必要書類一覧

・相続放棄の申述書

必要事項を記載したうえ、800円分の収入印紙を貼って提出します。裁判所のホームページに書式があるので、活用するとよいでしょう。

 

・被相続人の住民票除票または戸籍附票

住民票除票は居住地の市区町村役場で、戸籍附票は本籍地の市区町村役場で取得します。

 

・相続放棄する人の戸籍謄本

 

・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本

被相続人と相続人の関係を確認するためのものです。相続放棄する人が被相続人の配偶者または子である場合は、被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本でも構いません。相続人の中に亡くなった人がいて、相続の順位が変動している場合は、それを証明するために亡くなった相続人の戸籍謄本が必要です。

 

◆3ヵ月を経過した場合でも相続放棄ができる可能性

相続放棄は、相続の開始があったことを知ったときから3ヵ月以内に申し出るのが原則です。ただし、相続財産の状況を調査しても、3ヵ月以内に放棄するか否かを判断できない場合は、「相続の承認又は放棄の期間の伸長の申立て」をすることができます。

 

相続財産に借入金があることを知らずに相続から3ヵ月が経過して、「相続の承認又は放棄の期間の伸長の申立て」もしていない場合で、後になって借入金があることがわかるケースがあります。このように相当の理由があれば、3ヵ月を経過した場合でも相続放棄ができる可能性があります。ただし、期限後の相続放棄は、相当の理由があることを述べた上申書を家庭裁判所に提出するなど手続きが難しくなるほか、手続きをしても相続放棄ができない可能性もあります。期限を過ぎてから相続放棄をしたい場合は、相続放棄に詳しい弁護士に相談してください。

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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