(※写真はイメージです/PIXTA)

名義預金とはなにか? 名義預金と判断されるケースや、税務署に見つかるワケ、「申告漏れ」の場合課せられるペナルティ、そして名義預金とみなされないための対策について、税理士法人ブライト相続・代表社員税理士の竹下祐史氏がわかりやすく解説していきます。

名義預金が税務署に見つかるワケ

税務調査は相続税申告からおおよそ2年~3年後に実施されることが多いため、すぐに税務署に指摘をされることはありません。しかし、相続税の税務調査では被相続人や相続人の預金口座の入出金履歴が徹底的に確認されます。

 

①預金口座の調査

 

税務署は預金者の許諾がなくとも預金口座を調査する権限があります。また、預金者だけでなく家族の口座の調査できるため、名義預金に疑われる資金の動きがあるとみなされた関連口座も調査の対象となります。

 

さらに、多くの金融機関では過去10年分の入出金履歴を保存しているため、長期にわたる調査も可能です。そのため、不審なお金の動きはすべて確認されるので、預金口座の調査によって名義預金が発覚することがあります。

 

②KSKシステムから資産状況を確認する

 

税務署ではKSKシステム(国税総合管理システム)を活用して、納税者の所得、納税履歴、不動産や証券投資などの資産情報を一元的に管理しています。そのため、KSKシステムを利用することで、税務署は納税者の正確な資産状況を把握し、上記①の預金調査の情報も考慮して、相続財産の過少申告などを把握することが可能になります。

 

KSKシステムの概要(財務省)

https://www.mof.go.jp/about_mof/mof_budget/review/2020/010007shiryo.pdf

 

③過去の所得に比べて多くの預金がある

 

たとえば、結婚後に専業主婦をしており、かつ両親から大きな遺産を相続したことがないにもかかわらず、預金通帳に多額の資金がある場合などは、名義預金で実際には夫の財産ではないかと疑われる可能性があります。妻名義の口座に夫が得た収入を入金していた等、過去の所得に比べて多くの預金があるような場合、注意が必要です。

名義預金「申告漏れ」の場合、課せられるペナルティ

相続税の税務調査において、名義預金の申告漏れを指摘された場合、ペナルティとして「加算税」と「延滞税」が二重で課税されます。

 

また、加算税には「過少申告加算税」「無申告加算税」「重加算税」の3種類があり、申告漏れをした事由によって異なります。

 

①加算税

 

(1)過少申告加算税

・・・申告書の申告納税額が少なく、追加で税金を納めた場合に支払う。

 

〈納付すべき税額〉税務調査後に修正申告する場合は10%(追加納税額が、期限内申告の税額又は50万円のいずれか多い金額を超えている部分は15%)

 

(2)無申告加算税

・・・申告期限までに申告をしていなかった場合に支払う。

 

〈納付すべき税額〉税務調査後に申告する場合は15%(50万円を超える部分は20%加算)

 

(3)重加算税

・・・相続財産を隠蔽する等、悪質と判断された場合に支払う。

 

〈納付すべき税額〉相続財産を隠し、事実を仮装して過少に申告する場合は35%、相続税申告を意図的に行っていなかったとみなされた場合は40%

 

②延滞税

・・・納期限を守れず、納税が遅れた場合に支払う。

 

〈納付すべき税額〉法定納期限の翌日から2ヵ月以内に納付する場合は2.4%。2ヵ月経過したあとに納付する場合は8.7%(令和5年度の場合)。

次ページ名義預金とみなされないための「5つの対策」

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