(※写真はイメージです/PIXTA)

1950年代以降、日本が高度経済成長の道をひた進むなか、世界では冷戦、ベトナム戦争と、多くの勢力争いが勃発。それは世界での日本の立場や国交に、どのような影響をあたえていったのでしょうか。『大人の教養 面白いほどわかる日本史』(KADOKAWA)の著者である山中裕典氏が、1950年代から1970年代にかけての日本と世界情勢について、わかりやすく解説します。

キューバ危機、ベトナム戦争が勃発し、不穏な1960年代

核ミサイル配備をめぐり核戦争の寸前となったキューバ危機(1962)を機に、核実験が制限され、核兵器の他国への供与などを禁止した核兵器拡散防止条約(1968)が結ばれるなど、核兵器開発競争に歯止めがかかりました。

 

一方、社会主義の路線や冷戦のあり方をめぐり、中華人民共和国がソ連と敵対し中ソ対立)、国境紛争も発生するなど、「東側」に亀裂が走りました。

 

ベトナム戦争が日韓関係にもたらした影響とは?

日本は独立後に「西側」の韓国と国交樹立交渉を始めたものの、植民地支配の事後処理や漁業権などが問題化し、交渉は膠着しました。

 

ところが、1965年にアメリカがベトナム戦争に介入すると、事態は急展開しました。アメリカが支援した南ベトナムが反政府組織(南ベトナム解放民族戦線)との内戦で動揺すると、アメリカが社会主義国の北ベトナムを攻撃し(北爆開始 1965)、アジアの反共(資本主義・自由主義)陣営の結束を強化するため、日韓両国に交渉促進を働きかけたのです。

 

こうして、〔佐藤栄作内閣〕のもとで日韓基本条約(1965)が調印され、植民地支配の完全な終了を確認し、日本は韓国政府を「朝鮮にある唯一の合法的な政府」と認めました。一方、北朝鮮とは国交不正常の状態が続いています。

 

出所:『大人の教養 面白いほどわかる日本史』(KADOKAWA)より抜粋
[図表2]ベトナム戦争 出所:『大人の教養 面白いほどわかる日本史』(KADOKAWA)より抜粋

 

「沖縄返還協定」が調印

住民が主体の祖国復帰運動は、北爆開始(1965)によって高揚しました。沖縄が米軍の出撃基地となり、米軍による基地用地の強制接収やアメリカ兵の犯罪増加で、基地反対闘争も加わったからです。一方、沖縄の米軍基地に配備された核兵器の存在が懸念され、〔佐藤栄作内閣〕は世論に配慮して非核三原則「持たず・作らず・持ち込ませず」を表明し、交渉にあたりました。

 

まず小笠原諸島返還され(1968)、次に沖縄返還協定(1971)が調印されて、沖縄の日本復帰が実現しました(1972)。しかし、協定には新安保条約の沖縄への適用が規定され、沖縄の米軍基地は使用され続けることになりました

 

米中関係が変化した1970年代

国際社会は中華人民共和国を正式な中国と認め、国際連合の総会決議で中華人民共和国が国連代表権を獲得し、中華民国(台湾)が国際連合から追放されました。一方、ベトナム戦争が泥沼化したアメリカは、北ベトナムを支援した中華人民共和国に接近して、和平を画策しました(ベトナム和平協定[1973])。これらを背景に、アメリカは米中接近に踏み出し、ニクソン大統領が訪中して(1972)、敵対関係を終了しました(米中国交正常化は1979年)。

 

出所:『大人の教養 面白いほどわかる日本史』(KADOKAWA)より抜粋
[図表3]米中接近と日中国交正常化 出所:『大人の教養 面白いほどわかる日本史』(KADOKAWA)より抜粋

 

中華人民共和国との国交正常化は、どのように達成されたのか?

〔田中角栄内閣〕では、田中首相が訪中して周恩来首相と会談し、日中共同声明(1972)が調印されました。日本が侵略戦争の「責任を痛感し、深く反省」し、「中華人民共和国政府が中国の唯一の合法政府」と認めました。これにより、中華民国(台湾)との国交を断絶し、日華平和条約は破棄されました

 

田中は、産業の地方分散と高速交通網での接続という日本列島改造を打ち出しますが、公共事業の拡大で地価が高騰しました。また、第4次中東戦争によって第1次石油ショック(1973)が発生すると、中東の石油に依存していた日本では「狂乱物価」となりました(トイレットペーパー買占め騒動も発生)。

 

〔三木武夫内閣〕のとき、石油ショックで生じた世界的な不況に対し、経済問題を中心とする第1回先進国首脳会議(サミット)が開かれました(1975)。また、田中角栄前首相が、アメリカ航空機会社の売り込みをめぐる汚職で逮捕されるロッキード事件が発生しました。〔福田赳夫内閣〕では、日中平和友好条約(1978)が調印され、中華人民共和国と正式に国交を樹立しました。

 

 

山中 裕典

河合塾/東進ハイスクール・東進衛星予備校

講師

 

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※本連載は、山中裕典氏による著書『大人の教養 面白いほどわかる日本史』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集したものです。

大人の教養 面白いほどわかる日本史

大人の教養 面白いほどわかる日本史

山中 裕典

KADOKAWA

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