(※写真はイメージです/PIXTA)

これまでは「資産価値のある」不動産にかんしては、持っているだけで「とってもお得」な相続案件でした。しかし、最近はそうともいえなくなってきたと、不動産事業プロデューサーである牧野知弘氏は言います。牧野氏の著書『負動産地獄 その相続は重荷です』(文藝春秋)より、相続すると「負の財産」となりかねない、危険な不動産の見分け方を詳しく見ていきましょう。

資産性のある「土地」とは?

土地を見る際にはいくつかポイントがあります。素人の方はすぐに最寄りの駅がどこで、駅から何分だとか、高速道路や幹線道路から近いとか交通アクセスを考えがちです。たしかに交通の要素も大事なポイントではありますが、相続財産として価値があるかないかは、もう少し不動産自体をよく調査する必要があります。

 

私が戸建て住宅などを見るときに最も重視するのが、道路との接道状況です。これは土地を見る際の基本、「いろはのい」です。建築基準法では、建物を建築する際には、「幅員4m以上の道路に2m以上接していなければ、新たに建物を建築することはできない」とされています。

 

つまり、この条件を満たしていない家などを相続してしまうと、自分で使う、あるいは賃貸し続ける分にはよいのですが、これを老朽化したからといって建て替えることはできません。ということは売却しようにも、買った人が新たに建物を建築することができませんので、その点が嫌われて売却できないリスクが極めて高いということになります。

 

道路に2m以上接していても、接している道路が4mの幅員を確保できていないと、建て替えの際に、前面の道路が幅員で4m確保できるように敷地を後退(これをセットバックといいます)させて建築する必要があります。つまりセットバック部分だけ土地は実質的には自分のものにはならないということです。

 

出所:『負動産地獄 その相続は重荷です』(文藝春秋)より抜粋
[図表1]建築基準法第43条に定める接道要件 出所:『負動産地獄 その相続は重荷です』(文藝春秋)より抜粋

 

出所:『負動産地獄 その相続は重荷です』(文藝春秋)より抜粋
[図表2]建築基準法第43条に定める接道要件 出所:『負動産地獄 その相続は重荷です』(文藝春秋)より抜粋

 

地形(ジガタチ)も重要です。なるべく整形のものがよいです。その理由のひとつとして、ある程度広い面積になると、売却する際、土地代が高すぎて分割しないと売りにくくなります。分割するためには、そうです、道路に2m以上接することが必要ですから、整形のもののほうが分割しやすいですよね。

 

日当たりなどを考えて方角も重要です。日本では南西向きの土地が好まれます。周辺環境も大切なポイントの一つです。周辺にパチンコ店などの遊技場、葬祭場、ごみ焼却施設、排煙や音の出る工場などがある不動産は敬遠されがちです。長く所有しても資産価値の向上は限定的でしょう。

 

また将来的な売却を見据えて、相続が発生する前にお隣さんの敷地との境界を確定しておくことをおすすめします。相続発生後ですと、相続人が意外と隣人を知らないといったケースが増えています。人間関係がある先代の間に境界を確定する、越境物など将来トラブルになりそうな事象を解決しておくことは、スムースな相続を実現するための親の務めともいえましょう。

 

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※本連載は、牧野知弘氏の書籍『負動産地獄 その相続は重荷です』(文藝春秋)より一部を抜粋・再編集したものです。

負動産地獄 その相続は重荷です

負動産地獄 その相続は重荷です

牧野 知弘

文藝春秋

資産を巡るバトルでも相続税対策でもない。 親が遺した「いらない不動産」に悩まされる新・相続問題が多発! 戦後三世代が経過していく中、不動産に対する価値観が激変。 これまでは相続財産の中でも価値が高いはずだった…

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