(※写真はイメージです/PIXTA)

日本に50~100兆円ほどあるといわれる「タンス預金」。タンス預金がなくならない理由のひとつに「相続税対策」があります。しかし、多賀谷会計事務所の税理士でCFPの宮路幸人氏は「タンス預金は税務署にバレる」といいます。“足がつかないお金”であるタンス預金を、税務調査はどうやって見つけだすのか、詳しくみていきましょう。

タンス預金は“脱税の温床”…税務署は常に目を光らせている

国税庁には「KSKシステム(国税総合管理システム)」というものがあります。これは、全国524の税務署と12の国税局をネットワークで結び、納税者に関するすべての情報を網羅するコンピュータシステムです。

 

私たちの収入・所得は、毎年の確定申告や給与の源泉徴収票から、おおよそは国に把握されています。

 

税務調査を行う場合、担当者は、亡くなった本人だけでなくその家族の預金通帳を10年分遡って調査します。ここで生活費以外に50万~100万円ほどの大きな資金の引き出しがあると判明した場合、タンス預金や子への贈与、名義預金などの可能性が疑われることとなります。

 

税務調査当日、調査官は、亡くなった人や相続人についての経歴や職業、現在の収入、そして生活ぶりなどをさりげなく聞き出します。物腰柔らかく雑談のように始まりますが、その際の“ふとしたひと言”からタンス預金がバレることも多いです。また、貸金庫を保有している場合は、その貸金庫も調査対象となり調査されます。

 

タンス預金は「脱税の温床」ともいえるため、税務署は常に目を光らせています。このほかにも、タンス預金は次のような流れでバレてしまうことがほとんどです。

 

①金融機関から生活費以上のお金を引き出してタンス預金へ
 →金融機関の取引履歴から判明

 

②退職金や満期になった保険金をタンス預金へ
 →支払調書などにより判明

 

③へそくりをコツコツタンス預金へ
 →相続財産が想定より低い場合や、へそくりで大きな買い物をした際に判明

 

④株や配当金で儲けたお金を現金で引き出してタンス預金へ
 →支払調書で判明

 

⑤賃料収入などを現金で受け取り、タンス預金へ
 →昔からのつきあいで家賃を現金で受け取り所得税申告などしていない場合、相続税の調査過程で判明することがあります。

 

税務調査でタンス預金がバレてしまった場合、本来支払うべき相続税に加え、少なく申告したことへのペナルティとして、過少申告加算税(10%~15%)と本来の申告期限より遅れて支払ったことによる延滞税(原則7.3%~14.6%)を支払うこととなります。

 

しかもタンス預金の場合、「故意に相続財産を仮想隠ぺいしていた」とみなされ、過少申告加算税にかえて重加算税(35%~40%)の対象とされる場合が多いです。

 

タンス預金は相続税対策にならない

2024年7月ごろに日本銀行より新札が発行される予定となっていますが、この新札発行の目的のひとつにタンス預金のあぶり出しがあるのではないかともいわれています。新札に切り替えた後に大量の旧紙幣が使われると目立ってしまいますよね。

 

「タンス預金」は税務調査でバレた場合、重いペナルティを課される場合が多いです。したがって、家においてある現金は相続財産としてきちんと申告したほうがよいでしょう。

 

また、今回みてきたように、自宅に多くの現金が置いてあるという状況は、防犯上よくないため、やめておいたほうが賢明であると思われます。

 

 

宮路 幸人

多賀谷会計事務所

税理士/CFP

 

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