空き家問題の解決に向けて…相続登記義務化へ

2024年4月1日から「相続登記が義務化」となります。「はて、なんのことやら」という人も多いでしょうが、相続登記とは亡くなった人から不動産を相続した際に必要となる不動産の名義変更のこと。これまで相続登記をいつまでにしなければならない、といった法的なルールはありませんでしたが、4月1日以降は「相続の開始および所有権を取得したと知った日から3年以内」と具体的な期限が決められ、違反すれば10万円以下の過料を求められる可能性があります。

なぜ今回相続登記が義務化されたのかといえば、近年深刻化する空き家問題。2016年に国土交通省がまとめた資料によると、不動産登記簿において所有者の所在が確認できない土地は20.1%にも及び、そのうち相続が理由となり所有権移転の未登記とされている土地は67%にも及ぶとされています。

また一般財団法人国土計画協会による調査では、所有者不明土地は年々増加。2040年には720万ヘクタール超、北海道の90%に匹敵する広さにも及ぶと予想。対策を行わないことの経済損失は6兆円に及ぶとされていたのです。

そんな相続登記。株式会社エス・エム・エス『親の終活に関する意識調査』によると、2024年4月1日から相続登記が義務化されることを知っている人はわずか23.3%。一方で、相続について不安がある人は67.6%にも上りました。

不安の理由で最も多かったのが「相続税などが気になる」で63.6%。「どんな資産があるかがわからない」45.9%、「相続について何を準備すべきかわからない」42.4%と続きます。

そして親に最低限やっておいてほしい終活として、「特にない」という人は25.6%と4人に1人。ほかは何かしら親の終活に対して要望はあるようで、最も多かったのが「相続財産・借金・保険について」で28.1%。「葬儀について」23.4%と続きます。

このように、親が亡くなる前に、親自身にやっておいてほしいことは色々とあるものの、問題はそれを伝えることができるか、ということ。「親と終活について話したことがある人」は33.6%と3人に1人。また「相続する不動産について親と話し合ったことがある人」は22.9%と5人に1人でした。自身の親とはいえ、もしもの時の具体的な話はしづらい様子が伺えます。