(※写真はイメージです/PIXTA)

暑くて湿度の高い夏、暑くはないがジメジメする梅雨、寒くて乾燥する冬と、多様な気候を冷暖房器具を駆使して乗り切る日本人。「アレルギー発生原因であるカビやダニと無縁の生活をするには、1年を通じて室内の相対湿度が60%を超えないことが重要」と一級建築士の松尾和也氏はいいます。松尾氏の著書『お金と健康で失敗しない 間取りと住まい方の科学』(新建新聞社)より、カビやダニから身を守るための解決策を紹介します。

カビやダニを発生させない理想的な過ごし方

夏(梅雨を含む):窓を閉めて夏は冷房、梅雨時期は除湿運転を行うことで相対湿度が60%を超えないように暮らす。

 

自分が長く過ごす部屋だけではなく、カビを発生させたくない場所は全て(=家全体)が60%を超えないように暮らすことが理想的。これを常識的な冷房費で実現するには、徹底的な夏の日射遮蔽と屋根もしくは天井の断熱強化、少ない台数のエアコンで家全体を冷房するための冷房設備計画が重要になります。

 

エアコンの台数が多いと、冷やすのは簡単になりますが、1台毎の内部冷媒温度をそれほど下げなくてもよくなることから、湿度が下がりにくくなってしまうからです。

 

また本質的な解決策ではありませんが、夏の時期は太陽光発電が設置されている住宅であれば、冷房費は発電分から大半を相殺することが可能になりやすいというメリットがあります。

 

冬:[図表]の中の絶対湿度を見ると11月から3月にかけては7g/kg以下が続いています。

 

出所:『間取りと住まい方の科学』(新建新聞社)より抜粋
[図表]東京の月ごと温度・湿度環境 出所:『間取りと住まい方の科学』(新建新聞社)より抜粋

 

人が乾燥感を感じず、またインフルエンザ等のウイルスに感染しにくくするためには、この7g/kgというのは超えておきたいラインになります。

 

しかし、こうするとカビやダニにとっては理想的な状況に近づいてしまうという矛盾が生じてしまいます。これを解消する方法は2つあります。

 

家全体を暖かく、涼しくすることは「贅沢」ではなく「必須」

加湿することによって水分量は増えてしまうのですが、家全体の室温を20℃以上に暖かく保つことができれば、相対湿度が60%に到達することはありません。

 

また、先に述べたことと重なりますが、最も表面温度が下がって相対湿度が上がりやすい(結露しやすい)場所はユニットバスの床面、次が窓の下枠(特に主寝室の北窓の下枠)となります。

 

ユニットバスの床面に関しては最後の入浴後に水分を拭き取るというのが理想的ですが、加えて床下エアコン暖房によって浴室床の表面温度を冷たくしないことが非常に効果的です。

 

窓に関しては、ガラス部分より枠部分の方が冷えてしまいます。よって、最も冷えてしまう枠の部分を樹脂製の窓にする。

 

さらに言うならペアガラスよりもトリプルガラスに、ガラス間のスペーサーをステンレスよりも樹脂スペーサーの窓にすることが理想的です。既存住宅で窓自体が変えられない場合は、樹脂製の内窓をつけるという手法もあります。

 

最後になりますが、夏同様に冬も家全体を20℃以上に保つことを経済的に許容できる暖房費に抑えようとすると、それなりの断熱性と気密性が必須になります。

 

これまでは家全体を暖かく、涼しくというのは贅沢だと捉えられがちでした。ですが、人間が健康に暮らすために非常に重要な要素であるということをご理解いただければ幸いです。

 

 

松尾 和也

松尾設計室

一級建築士

 

 

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※本連載は、松尾和也氏による著書『間取りと住まい方の科学』(新建新聞社)より一部を抜粋・再編集したものです。

お金と健康で失敗しない間取りと住まい方の科学

お金と健康で失敗しない間取りと住まい方の科学

松尾 和也

新建新聞社

「家相」や「風水」は昔の人々の長年の生活体験や知恵に由来することが多く、必ずしも現代にそのまま当てはまるわけではない―― エコハウスの設計に長年取り組み、数多くの経験から導き出した設計の法則と住まい方を、設計…

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