(※画像はイメージです/PIXTA)

人口の高齢化が進むなか、人生の最後を老人ホームで過ごす人が増えています。しかしなかには、入居後に後悔したというケースも……。一体なぜでしょうか。本記事では、Aさんの事例とともに介護業界の実情を、マネレボ株式会社代表の大久保美伽氏が解説します。

一人になってからの「終の棲家」をどうするか?

介護業界では慢性的な人手不足が深刻化しています。今回のAさんのように入居後一気に職員が退職し当初の受けられるはずだったサービスが受けられない……という老人ホームは決して稀なケースということではありません。

 

介護職員の不足から定員よりあえて入居者数を少なくするという老人ホームも出てきていて、収益悪化に追い込まれているという施設も出てきています。Aさんのように配偶者に先立たれ、お子さんに迷惑をかけたくない……と老人ホームを終の棲家にしたいと考える方が増え、今後介護業界の慢性的な人手不足をどう解消するかが国を挙げての課題になっています。

 

介護業界の慢性的な人手不足の要因と言われるのが激務のわりに給料が安いということ。厚生労働省の「令和4年度介護従事者処遇等調査結果」によると、介護職の平均月収は31.8万円。この金額は平均基本給額(18万6,840円)に平均手当額(8万860円)、平均一時金額(5万530円)となっています。

 

この金額にボーナスが年間で70万円から100万円追加されるため、年収にして430万円前後となります。日本における平均年収は2021年の時点で443万円ですから、介護職の年収は平均よりも若干低いことがわかります。

 

肉体的、精神的にもきつい仕事で平均にも満たない給与……。慢性的な人手不足というのも無理はありません。政府も介護業界の人手不足解消のため待遇を改善するための施策を打ち出しています。

 

厚生労働省は、介護職員や看護補助者などに対し、2024年2月から5月までの間、月額6,000円程度賃上げを行うことを決め、今年度の補正予算案に盛り込みました。6月以降は介護報酬に組み込んで恒久化する方向で調整に入っています。

 

介護業界の人手不足解消のための額が「月6,000円程度」。この程度では介護業界からの人材流出は止められないかもしれません。

 

少子高齢化、核家族化がますます進む今後、人生の最後をどう迎えるかは誰にとっても避けては通れない現実です。そのときに、誰もが最後まで人間らしい生活ができるような態勢をどう作るのか、早急な対策が求められていると感じます。

 

 

大久保 美伽

マネレボ株式会社 

代表

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