(※写真はイメージです/PIXTA)

第一次世界大戦後、内政にさまざまな変化の波が訪れた欧米諸国。『大人の教養 面白いほどわかる世界史』(KADOKAWA)の著者で河合塾講師の平尾雅規氏が、明暗がくっきりと分かれた各国の悲喜こもごもを解説します。

「独裁国家化」を着々と進めるドイツとロシア

民主国家を樹立したドイツも、徐々にファシズムの道へ

イタリアに続いてドイツでファシズム政権が成立することは皆さんご存知だと思いますが、両国には「上からの統一で近代国家が成立した」という共通点があります。

 

イタリアではサルデーニャ国王、ドイツではプロイセン国王が主導権を握って政治を行い英仏のような民主主義は根づきませんでしたね。このせいで「リーダーが一人で引っ張っていくから、国民は黙ってついて来い」というファシズム体制を、多くの国民が違和感なく受けて入れてしまった、という事情があるんです。

※国内では保守派が力を持ち続けた

 

とはいえ、ドイツ革命が起こったドイツは、15年ほどは民主主義が実現しました。それがヴァイマル共和国。1917年にロシア革命が起こると、ドイツの共産主義者も「今こそ世界革命だ!」と立ち上がりました(スパルタクス団の蜂起)。

※カール=リープクネヒトやローザ=ルクセンブルク

 

しかし、ドイツの革命は帝政崩壊をもたらしたものの、共産主義革命の方は潰されてしまいました。ロシアで例えてみると…。三月革命は成功したけど、十一月革命は失敗したイメージですか。

 

イギリスなどと同様に、ドイツの労働者も革命を避けるドイツ社会民主党に流れていて、共産党はメジャーになりきれなかった。その社会民主党主導で作られたヴァイマル憲法は、当然ながら労働者の権利を大々的に保障。これが「世界で最も民主的な憲法」と呼ばれた所以です。

 

その一方で、大統領緊急令を規定し、非常時に大統領に大権を与えました。これは19世紀の「上からの統一」の名残りと考えることができます。

 

ソ連では、レーニンの後継にスターリンが台頭

共産主義のソ連に目を向けると、レーニン死後のソ連ではトロツキースターリンの間で「後進国だったロシアが単独で社会主義を建設できるか?」という論争が勃発。

※レーニンの後継者争いの意味合いもあった

 

トロツキーは「NO。世界革命を進めることでまずは共産主義国の仲間を増やすべき」と説きますが、スターリンは「YES」と真っ向から反論。勝利したスターリンはトロツキーを国外追放とし、政敵や反乱分子も、秘密警察を駆使して排除(「粛清」)し、独裁権を確立させました。 

※あえてトロツキーと異なる意見を挙げて追い落とそうとした側面も

 

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次ページ1920年代に入り、「大量生産、大量消費社会」が誕生

※本連載は、平尾雅規氏による著書『大人の教養 面白いほどわかる世界史』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集したものです。

大人の教養 面白いほどわかる世界史

大人の教養 面白いほどわかる世界史

平尾 雅規

KADOKAWA

「なぜ、戦争や紛争が絶えないのか?」「なぜ、国によって考え方・風習・生活が違うのか?」 ……答えは高校時代に習った世界史の授業のなかにあったはずなのに、大人になったいま、その答えがすっぽりと抜け落ちていません…

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