「とにかく働きたくなかった」江戸川乱歩…サラリーマン時代に編み出した“まさかのサボり術”【偉人研究家が解説】

「とにかく働きたくなかった」江戸川乱歩…サラリーマン時代に編み出した“まさかのサボり術”【偉人研究家が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

名探偵・明智小五郎が活躍する「少年探偵団」シリーズで人気を得た江戸川乱歩。29歳で小説家デビューする前の彼は「とにかく逃げまくっていた」と、『逃げまくった文豪たち 嫌なことがあったら逃げたらいいよ』(実務教育出版)の著者で偉人研究家の真山知幸氏はいいます。乱歩が業界紙の編集者として働いていたとき、仕事をサボるために考えた“まさかの作戦”とは……文豪の“逃げエピソード”をみていきましょう。

出勤したくなくて…部屋の押入れに隠れる

そこではじめて谷崎潤一郎の小説を読むと「日本にもこういう作家がいたのか」と感激したという。その後、ドストエフスキーを読み、さらに文学の世界に浸ることになるが、食うためには、いつまでも働くことから逃げるわけにはいかない。三重県の鳥羽造船所で働くようになる。

 

ここでは職工に読ませる雑誌の編集に夢中になった。いわゆる業界誌の編集者だ。

 

だが、やっぱり段々と出勤することがイヤになってきた。そこで乱歩が考えた作戦が、「寮部屋の押入れの上段にふとんを敷いて、昼間もそこに寝ておく」というもの。

 

襖を閉めきっているので、様子を見にきた同僚は、出勤したものと思い込む、というわけだ。ドラえもんじゃないんだから……。

 

出所:真山知幸氏著『逃げまくった文豪たち嫌なことがあったら逃げたらいいよ』(実務教育出版)
<画像>寮部屋の押入れの上段にふとんを敷いて寝ていた江戸川乱歩 出所:真山知幸氏著『逃げまくった文豪たち嫌なことがあったら逃げたらいいよ』(実務教育出版)

 

ちなみに、このときに押入れで天井を見つめていた経験が、『屋根裏の散歩者』という小説の着想につながったという。

 

ストレスフルな毎日のなか、乱歩の逃亡癖が突然、発動する夜もある。夜中にひとりで寮を抜け出し、街の禅寺で朝まで座り続けた。職場が大騒ぎになったことはいうまでもない。乱歩は、この職場も1年で退社している。

 

「石の上にも3年」なんていうことわざとは無縁の乱歩。しっくりこない職場から逃げて逃げて、逃げまくって転職を繰り返した。同じ職場にいた期間は長くて半年か1年というから、こうなってくると、もはや逃亡生活に近い。

 

短期間だが、支那そばの屋台を引いていた時期もある。屋台のラッパを吹く男が、日本における推理小説のパイオニアとして名を馳せるとは、誰も思わなかったことだろう。

 

もはや、定食屋にツケもきかなくなり、3日も炒り豆だけで暮らすなど貧苦にあえいだ乱歩。この頃、結婚もしており、さすがの乱歩も危機感を募らせる。

 

一念発起して、かつて貿易商社を紹介してくれた恩人を再び頼って、東京市社会局の仕事を紹介してもらう。

 

かつて紹介先で逃亡しただけに、気まずかったに違いない。それでも、背に腹は代えられない。今度こそ乱歩は人が変わったかのように働いた……とはならなかった。当時のことを乱歩はこう語る。

 

「悪事をはたらいたわけではない。ただ毎朝起きて、きちんきちんと勤めに出る根気がなかったのである」

 

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次ページついに「天職」をみつけた乱歩だが…やっぱり逃げる

※本連載は、真山知幸氏の著書『逃げまくった文豪たち 嫌なことがあったら逃げたらいいよ』(実務教育出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

逃げまくった文豪たち 嫌なことがあったら逃げたらいいよ

逃げまくった文豪たち 嫌なことがあったら逃げたらいいよ

真山 知幸

実務教育出版

あの偉大な文豪も、逃げまくっていた!? 知れば知るほど勇気をもらえる文豪の逃げエピソード集! 誰もが知る文豪たちも、実は仕事や勉強、家族や借金取りから逃げた「逃げエピソード」を持っている。厳しすぎる学校から逃亡…

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