(※写真はイメージです/PIXTA)

実家暮らしの姉と、結婚して遠方に住んでいる妹。実家の相続をめぐってトラブルに……。相続では、不動産をめぐる兄弟姉妹間のトラブルが多いと、ベリーベスト法律事務所の代表・萩原達也弁護士はいいます。事例をもとに、兄弟姉妹で不動産を相続した際の注意点と解決策をみていきましょう。

不動産の「4つ」の分割方法

次に、相続する財産についてみていきましょう。主な相続財産が自宅や土地といった不動産であり、かつ、その不動産で相続人の1人が生活しているというようなケースでは、どのように不動産を分けるのかでトラブルに発展するケースが少なくありません。

 

相続財産に不動産が含まれている場合には、4つの方法のいずれかで不動産の遺産分割を行います。

 

1.現物分割

「現物分割」とは、不動産をそのままの形で相続人に分配する方法です。たとえば、相続財産が建物と土地のみであった場合に、「長女に建物を、次女に土地を相続させる」といった方法が現物分割になります。

 

相続財産をそのまま分配すればよいため非常に簡単ですが、公平に分割するのが難しいというデメリットがあります。

 

2.換価分割

「換価分割」とは、不動産を売却して、売却代金を相続人に分配する方法です。不動産を売却することで分割しやすい金銭に換えることができますので、公平な遺産分割を実現できるというメリットがあります。

 

しかし、売却する不動産で生活している相続人がいると売却の合意ができなかったり、売却が難航したりする可能性があります。

 

3.代償分割

「代償分割」とは、特定の相続人が不動産を相続する代わりに、他の相続人に対して金銭を支払う方法です。

 

代償分割は、“相続人のうち1人は不動産を相続したい、そのほかの相続人はお金がもらえればいい”と考えている場合には向いている分割方法といえますが、不動産を相続する人が代償金を支払わなければなりませんので、十分な資力が必要になります。

 

4.共有分割

「共有分割」とは、不動産を相続人の共有状態で相続する方法です。これは遺産分割がまとまらないときに選択される方法ですが、権利関係が複雑化し、利活用も困難になることから、できる限り避けたほうがよいでしょう。

「実家暮らし=必ず不動産を相続できる」わけではない

誰がどのような遺産を相続するのかは、相続人全員による話し合いである「遺産分割協議」で決めていくことになります。前述したように、相続割合は法律で決まっていますが、相続人全員が合意すれば、その割合を変えることも可能です。

 

ただし、遺産分割協議を成立させるためには、全相続人が合意する必要があります。そのため、「実家で暮らしている」という理由だけで、必ず不動産を相続できるわけではありません。

 

なお、実家で暮らしていた相続人が不動産を相続した場合には、「小規模宅地の特例」という相続税の優遇措置を受けられる可能性があります。しかし、これはあくまでも税制上の優遇であり、遺産分割協議における優遇ではありませんので注意が必要です。

 

親の介護をしていたなどの事情がある場合は、「寄与分」が認められる可能性

「寄与分」とは、相続人の財産の維持・増加に貢献した相続人がいる場合に、その相続人が他の相続人よりも多くの遺産をもらうことができる制度です。

 

たとえば、献身的に親の介護をしていた相続人がいる場合には、寄与分が認められる可能性があります。ただし、寄与分が認められたとしても実家の不動産を優先的にもらうことができるというわけではありません。

 

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※本記事は、公開日時点の法律をもとに執筆しています。

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