今まさに、AI革命前夜。私たち人間にできて、AIにできないことは何なのか? 脳科学者・茂木健一郎氏が出した「一つの結論」とは?

今まさに、AI革命前夜。私たち人間にできて、AIにできないことは何なのか? 脳科学者・茂木健一郎氏が出した「一つの結論」とは?
(画像はイメージです/PIXTA)

すさまじい勢いで進化し続けるAIは、あっという間に人間の能力を凌駕し、ビジネス領域を侵食していきます。そのような過酷な状況下、AIに仕事を奪われることなく、自身の能力を最大級に発揮して生き残るにはどうしたらいいのでしょうか。脳科学者として活躍する、茂木健一郎氏が解説します。※本記事は、茂木健一郎氏の書籍『運動脳の鍛え方』(リベラル新書)より一部を抜粋・再編集したものです。

「ChatGPT」に「脳と運動の関係性」を聞いてみたら…

「動く」と聞けば、「運動」をイメージする人も多いでしょう。

 

さらに、運動が身体にいいというのは、誰もが知っている常識ですが、運動が脳にとってもイイコト尽くしだということを知っている人はどれくらいいるのでしょうか。

 

そこで試しに、生成AIである「ChatGPT」に、脳と運動の関係性について聞いてみました。すると、このような答えが返ってきました。

 

Q.脳と運動の関係性を教えてください。

 

A.脳と運動は密接に関係しています。運動は、脳を刺激し、神経細胞の新しい接続を促進することで、脳の健康と機能に重要な役割を果たします。以下に、脳と運動の関係性についての詳細を説明します。

 

1.運動は脳の健康に重要な役割を果たす

運動は、脳の健康を維持するために必要不可欠な役割を果たします。運動により、脳の血液循環量が増加し、より多くの酸素や栄養素が脳に運ばれます。また、運動は脳の神経細胞を刺激し、新しい神経細胞の成長を促進することが知られています。

 

2.運動は認知機能を向上させる

運動は、認知機能を向上させることが知られています。運動によって、脳の前頭葉や海馬(かいば)などの部位が刺激され、記憶力や学習能力が向上することが報告されています。

 

3.運動はストレスやうつ病の緩和に役立つ

運動は、ストレスやうつ病の緩和に役立つことが知られています。運動によって、ストレスホルモンの分泌が減少し、ストレスや不安を緩和することができます。また、運動によって、脳内ホルモンのセロトニンやドーパミンの分泌が増加し、気分を改善することが報告されています。

 

4.運動は老化や神経疾患の予防に役立つ

運動は、老化や神経疾患の予防に役立つことが知られています。運動によって、脳の神経細胞が刺激され、老化に伴う脳の萎縮を防ぐことができます。また、運動によって、パーキンソン病やアルツハイマー病などの神経疾患の発症リスクを低下させることが報告されています。

 

なるほど! 「ChatGPT」によれば、運動によって脳を活性化させ、認知機能を向上させ、ストレス緩和や老化予防にもなるわけですね。

 

長年、脳科学を研究してきた私としても、深みはないものの、ポイントは的確に把握しているという評価ができます。さすが、いま世界の最先端を走る生成AIの技術は目覚ましいものがあります。

 

ただし、これらの効用を頭では理解していても、実際のところ定期的に運動しているという人はどれくらいいるのでしょうか。

 

実は、日本人の運動不足を露呈する驚くべきデータが存在するのです。

運動習慣ありの人…40代男性は20%以下、30代女性は10%以下

厚生労働省の「国民健康・栄養調査報告」(令和元年)によれば、運動習慣のある人(1回30分以上の運動を週2回以上実施し、1年以上継続している人)の割合は男性が33.4%、女性が25.1%となっています。

 

下記のグラフをみると、男女ともに高齢になるほど習慣的に運動している人の割合が高いことがわかりますが、逆に40代男性の運動習慣は20%以下、30代女性は10%を切るという、極めて低い数字になっているのが驚きです。

 

出典:厚生労働省「国民健康・栄養調査報告」(令和元年)より作成
[図表1]日本人の3人に1人以上が運動不足 出典:厚生労働省「国民健康・栄養調査報告」(令和元年)より作成

 

加えて、WHO(世界保健機関)の調査では、日本人の3人に1人以上が運動不足という驚きのデータもあるのです。

 

このようなデータからも、現代に生きる多くの日本人がいかに運動不足かということが理解いただけたかと思います。

 

ただ何となく、「そろそろ運動する習慣を身に付けなければ……」と考えても、特に身体に不調を感じているわけではないので、ついつい運動習慣を後回しにしてしまっている。そんな人が多いのではないでしょうか。

 

健康診断の結果が思わしくなく、お医者さんから「もっと運動したほうがいいですね」といわれても、実際にはなかなか運動を始める人はいないようです。

 

健康を維持するために運動が必要不可欠なものだとわかっていてもなお、実践できない。あるいは、気合いを入れて運動しようとしたものの、三日坊主で終わってしまったと悩む人も多いかもしれませんね。

 

普段の仕事や子育てが忙しい、お金に余裕がない、そもそも運動するのが嫌いなど理由はさまざまですが、脳科学者として私が警鐘を鳴らしたいのは、「このまま運動不足の生活を送り続けると、脳はどんどん退化していく」ということです。

 

そうした危機感を、少なからず抱いている人もいるようです。

 

スウェーデンの精神科医、アンデシュ・ハンセン氏が上梓した『運動脳』(サンマーク出版)が世間で話題を呼んでいます。それだけ、多くの方が運動と脳の関係性について興味関心があるのでしょう。

 

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次ページ運動嫌いな人でも「脳を活性化」する方法はある

※本連載は、茂木 健一郎氏の書籍『運動脳の鍛え方』(リベラル新書)より一部を抜粋・再編集したものです。

運動脳の鍛え方

運動脳の鍛え方

茂木 健一郎

リベラル社

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