(※写真はイメージです/PIXTA)

日本が「イノベーション後進国」と言われて久しいなか、『「見えない資産」が利益を生む GAFAMも実践する世界基準の知財ミックス』著者の鈴木健二郎氏は、日本の企業や個人はこれまで革新的な技術やアイデアを生み出している一方、日本独自の「詰め込み教育」と「清貧思想」の弊害が深刻だといいます。変われない日本を待ち受ける恐ろしい未来とは……みていきましょう。

「技術やアイデア」に強く、「仕組みづくり」に弱い日本

しかし、評価されているのは、生み出している技術やアイデアであって、残念ながらそれらを活用したビジネスモデルや、社会・顧客に提供している価値ではありません。実は、ここに大きな問題があります。

 

つまり日本の企業や個人は、技術やアイデアは革新的ですが、それを今の社会や顧客の課題・ニーズに合わせて提供する“価値”へと変換する仕組みづくりが、ほとんど進歩していないのです。

 

社会や顧客の課題・ニーズは大きく変わっています。良いものをつくれば売れるという時代は、すでに1980年代の段階で終わっています。それにもかかわらず、商品・サービスの形態や提供のしかたはここ何十年も変わっていません。

 

革新的な技術やアイデアが、「社会・顧客の価値」に到達しない

より掘り下げて考えてみましょう。日本の企業が、革新的な技術やアイデアを生み出しても、残念ながら「社会・顧客の価値」にまで到達できないケースが後を絶ちません。

 

経済産業省が平成27年度に実施した「企業・社会システムレベルでのイノベーション創出環境の評価に関する調査研究」で提示した定義によると、イノベーションとは以下の一連の活動を言います。

 

社会・顧客の課題解決につながる革新的な手法(技術・アイデア)で新たな価値(製品・サービス)を創造し、

社会・顧客への普及・浸透を通じて、

ビジネス上の対価(キャッシュ)を獲得する。

 

出典:経済産業省「企業・社会システムレベルでのイノベーション創出環境の評価に関する調査研究」より作成
[図表2]イノベーションとは 出典:経済産業省「企業・社会システムレベルでのイノベーション創出環境の評価に関する調査研究」より作成

 

日本の企業や個人は、①の革新的な手法(技術・アイデア)の創出までは行くのですが、そこでとどまっており、新たな価値(製品・サービス)を創造して、②の社会・顧客に普及・浸透させることで、③のビジネス上の対価(キャッシュ)を獲得することができていないため、イノベーションが最後まで完成せず、「ジリ貧」のスパイラルに陥っているわけです。

 

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※本連載は、鈴木健二郎氏の著書『「見えない資産」が利益を生む GAFAMも実践する世界基準の知財ミックス』(ポプラ社)より一部を抜粋・再編集したものです。

「見えない資産」が利益を生む GAFAMも実践する世界基準の知財ミックス

「見えない資産」が利益を生む GAFAMも実践する世界基準の知財ミックス

鈴木 健二郎

ポプラ社

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