「収入が少なく、支出をまかなえない」

債務調査は、今年7月17日から21日にかけて、全国1,300人を対象に行われた。その結果、大多数の人が「収入が少なく、支出をまかなえない」と答えた。

また、生活費をやりくりするために、銀行からの借り入れに頼ったり、支出を減らしたり、副収入を求めたりしていることもわかった。回答者の約69.3％が支出パターンが計画通りでなかったことを認めており、回答者の60.7％が過度の支出にふけったと答え、47.2％が現在の支出のために将来の収入を取り崩したと答えた。

現在の状況については、54.7％が「収入より借金の方が多い」と答えた。今後については、60.4％の人が借金が収入の増加を上回ると考えている。

回答者の約65.6％が金融機関から借りていると答え、31.2％が金融機関と高利貸しの両方から借金をしており、3.2％が高利貸しのみにお金を借りている。各家庭の平均借金額は55万9,408バーツ（約230万6,387円）。金融機関に1万2,012バーツ（約4万9,524円）、高利貸しに4,712バーツ（約1万9,438円）の合計1万6,742バーツ（約6万9,033円）を毎月返済しなければならない。

タイ中央銀行が取り組む措置

タイ中央銀行（BOT）は、国有銀行と他金融機関の両方と協力し、家計債務問題を解決するための措置を開始した。BOTは7月21日、借り手に適した融資に焦点を当てた追加措置を発表し、5年以内に返済が完了するよう取り組み、かつ年利率が15％を超えない持続的な債務の種類を設定した。

中央銀行はまた、債務スパイラルを減らし、新規債務が不良債権化するのを防ぐ努力の一環として、銀行にリスクベースの価格設定で金利を請求し、債務返済比率を適切なレベルに設定するよう求める予定だ。

タイ銀行協会によると、今年4月末時点で、債務再編中の口座数は200万口座、債務総額は1兆8,800億バーツ（約7兆7,519億5,816万円）で、ピークだった2020年7月末時点での612万口座、債務総額は4兆2,000億バーツ（約17兆3,242億7,235万円）から大幅に減少した。BOTは、5年以内に家計債務をタイのGDPの80％以下にすることを目指している。

BOTのロナドル・ヌムノンダ金融機関安定化担当副総裁は先週の記者会見で、「われわれが打ち出した措置は、家計債務を持続可能な方法で処理するのに役立つ」と述べた。同副総裁は、「こうした措置は不良債権、持続的債務、新規債務、非正規債務を効果的に処理するのに役立つ」と述べた。

BOTは来年1月1日に責任ある融資に関する施策を発表し、4月1日には持続的債務に関する別の施策を発表する予定だという。

また、「この問題に取り組むためには、債務者と債権者の行動を変えるだけでなく、関係機関の協力が必要である」と述べた。

各党の提案　最低日給を600バーツ（約2,474円）に

5月14日の総選挙に向けた選挙戦で、多くの政党が国民の所得向上を公約に掲げた。多くの政党は、経済成長率を高めれば家計債務を減らすことができると考えていた。

次期政権を率いる可能性のあるタイ貢献党は、その経済政策で4年間の任期中に5％の経済成長を推進すると主張している。同党は、中小企業の債務延期を1年間、農民の債務停止を3年間実施すると約束している。同党はまた、最低日給を600バーツ（約2,474円）に引き上げ、新卒者の月給を25,000バーツ（約10万3,084円）にすることを提案している。

下院で3番目に多い議席数を持つブムジャータイ党は、農民に対する3年間の債務延期を提案している。

しかし、高度な経済成長だけでは、一部の人々に富が集中してしまい、多くの世帯に広く恩恵をもたらすことはできない。

このような背景から、最低賃金を1日450バーツ（約1,856円）に引き上げる計画とは別に、前進党という党は所得格差に焦点を当てている。

当面の計画は、現在2つの巨大メーカーが独占しているアルコール飲料生産の自由化である。現行法では、新規参入には高額な投資額が必要とされるため、小規模業者は障壁に直面している。独占が解消されれば、小規模プレーヤーにとってチャンスは大きく広がるだろう。Krungsri Research社は、2020年の市場価値を4,730億バーツ（1兆9,512億4,703万4,000円）（飲料業界全体の約64％）と見積もっている。