人生100年時代、定年後も資産を増やしていくことが求められています。効率よく資産運用できる方法の一つが、毎月一定額ずつ「つみたて投資」をすることです。国も、税制優遇の制度である「NISA」によってそれを後押ししています。問題は、投資対象となる「投資信託」の選び方です。ファイナンシャルプランナーの横山光昭氏が著書『定年後でも間に合うつみたて投資』(角川新書)より、自身の例も挙げながら解説します。

「リスク」は「不確実性」ととらえる

ここではつみたて投資でインデックスファンドを買うことを前提としていますが、こうした資産配分については、誰かが決めた通りに買うものではなく、あくまで自分自身の判断で買うという姿勢が大事です。タイプ別に複数の商品をチェックする「米国」の伸びは今後も一番大きいと思うので、「先進国」を交えず、「全世界」と「米国」を半分ずつとした方がリターンも大きくなりそうです。

 

ただし、「米国」の方が「先進国」よりもハイリスクです。しかし、リスクは危険性というよりは不確実性ととらえます。また、リターンはリスクと反比例すると考えます。悪いことではありませんが、リターンを取るのであればリスクも取らないといけないことになってきます。

 

現在のところ、リスクが最も高いのは「米国」。反対に最も低いのが「全世界」です。その間に「先進国」が位置しています。それぞれのタイプによって、組み入れている銘柄が違っています。一般的に組み入れ銘柄の数が多いほどリスクは少なく、またリターンも少ないとされています。

 

個々の商品によって違いはありますが、「全世界」にはおよそ8,000本もの銘柄が入っています。「米国」の場合は、連動する指数によって幅があり、500〜4,000本です。中間的な存在の「先進国」で約1,300本となっています。リスク、リターンの高さを順番に並べると、「米国」「先進国」「全世界」となります。

 

なお、「新興国」は「米国」を突き抜けていると言っていいので、「新興国」「米国」「先進国」「全世界」という順番になるでしょう。「新興国」のリスクは高いとされていますが、先ほども述べたように不確実性という意味合いです。

 

ただし、中国やインドなどは人口ですでに14億人を超えているようなレベルですから、大きく化ける可能性があります。生産年齢人口の増加率が非常に高い新興国諸国の現状を考えると、経済成長する可能性もありつつ悪くなる可能性もあり、この先どうなるかわからないところがあります。ただし、リターンが来るまでに最低10年以上は待つ必要があるため、定年期の人にはあまりおすすめできません。

 

以上4種類の他には「国内」があります。ただ、日本人だから「国内」だけを買うというケースはあまり見られません。「全世界」を買ってしまえば、その中に日本が5パーセントくらい含まれているので、それで十分だと考える人が多いようです。「国内」を別立てでしっかり買おうとは考えなくていいと思います。

 

少し変則的になりますが、3種類の配分を均等に3分の1ずつ配分してもいいでしょう。あとは配分せずすべてを全世界に設定する方法も考えられます。自分で自由にアレンジしてみてください。

 

もう一つあるとすれば、「全世界」の割合は先ほど5割としていましたが、これを3割として、残った7割のうち5割を「米国」、2割を「先進国」という配分にする案も考えられます。「全世界」が全体に占める割合については、5割だと比較的無難な取り方となり、3割だと自分の考えを多く取り入れることになってくると考えるとわかりやすいでしょう。

 

金額は別として、ここまででつみたて投資の初心者向けにおすすめ順の配分を整理してみると、以下のようになります([図表2]も参照)。

 

【つみたて投資の配分例】

1. 全世界の配分を50%に設定

(1)全世界50%+米国25%+先進国25%

(2)全世界50%+米国50%

 

2. 全世界の配分を30%に設定

・全世界30%+米国50%+先進国20%

 

3. 3種類の配分を均等に設定

・全世界33%+米国33%+先進国33%

 

4. 配分せず、すべてを全世界に設定

・全世界100%

 

[図表2]つみたて投資の配分例

 

横山 光昭

株式会社マイエフピー 代表

 

本メディア並びに本メディアの記事は、投資を促すことや、特定のサービスへの勧誘を目的としたものではございません。また、投資にはリスクがあります。投資はリスクを十分に考慮し、読者の判断で行ってください。なお、執筆者、製作者、株式会社幻冬舎ゴールドオンライン、幻冬舎グループは、本メディアの情報によって生じた一切の損害の責任を負いません。

定年後でも間に合うつみたて投資

定年後でも間に合うつみたて投資

横山 光昭

KADOKAWA

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