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遺産の分け方が決まって遺産分割協議書を作成する際、割印や契印(けいいん)の押印が必要な場合もあります。本連載は、司法書士法人みどり法務事務所が運営するコラム『スマそう−相続登記−』から一部編集してお届け。本稿では、遺産分割協議書に押す割印と契印の違いや押し方、また、押す場所や失敗して押し直しが必要になったときの注意点を解説します。

遺産分割協議書に割印を押すときのポイント

[図表1]

 

図表1のように、割印はすべての遺産分割協議書にまたがるように各相続人が押印します。以下では、割印を押すときのポイントを紹介します。

 

すべての遺産分割協議書にまたがるように各相続人が実印で押印する

遺産分割協議書のどこに割印を押すのかに明確な決まりはありませんが、遺産分割協議書の上の部分に押印することが一般的です。すべての遺産分割協議書にまたがるように、相続人全員が実印で押印します。

 

遺産分割協議書に押印する際に使う印鑑は、認印ではなく実印です。署名欄への押印や割印・契印の押印は、いずれも実印を使って押印します。実印でなくとも法律上は有効ですが、実務上、提出先の金融機関や法務局は実印の押印を要求するのが一般的ですのでご注意ください。

 

なお、押印に使った印鑑が実印であることを証明するために印鑑証明書も必要です。相続人の中に印鑑登録をしておらず、印鑑証明書を取得できない人がいる場合は、その人の住所地の役所で印鑑登録の手続きをしましょう。

 

失敗した場合は訂正線で消さずに押し直す

割印が滲んでしまった場合やずれてしまった場合など、押し方に失敗したときは、失敗した印影の上に少しずらして訂正印を押印し、その隣に改めて割印を押し直します。

 

記載した内容を訂正する場合には一般的に二重線が使われますが、割印の訂正では二重線を使ってはいけません。二重線で消す方法だと他の人がさらに二重線で消してしまうリスクがあるからです。

遺産分割協議書に契印(けいいん)を押すときのポイント

失敗したときに訂正線で消さず少しずらして訂正印を押印し、その隣に改めて押し直す点や実印で押印する点は、契印でも割印でも同じです。

 

ただし契印の場合は、遺産分割協議書がホチキスで綴じられている場合と製本テープで綴じられている場合で押し方が異なります。

 

遺産分割協議書のページ数が少なくホチキスで綴じられている場合は、左右両ページにまたがるように相続人全員が、すべてのページのつなぎ目に実印で押印します。

 

[図表2]

 

一方、遺産分割協議書が製本テープ(図表3の緑色の部分)で綴じられている場合は、ホチキスで綴じられている場合とは違って、途中のページが抜き取られたり新たなページが追加されて偽造されたりすることは基本的に考えられません。

 

そのためホチキスで綴じられている場合のように、すべてのページのつなぎ目に契印を押す必要はなく、表表紙と裏表紙の両方に製本テープにまたがるように契印を押します。

 

[図表3]
次ページ遺産分割協議書に割印や契印は押さないといけない?

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