「夏冬賞与」と「退職金」が消える?「脱メンバーシップ型」へとシフトする社会で起こりうる変化

「夏冬賞与」と「退職金」が消える?「脱メンバーシップ型」へとシフトする社会で起こりうる変化
(※写真はイメージです/PIXTA)

日本企業が、終身雇用を前提に職務のない雇用契約である「メンバーシップ型雇用」を脱すると、世界標準ではない「夏冬賞与」や「退職金」の制度も見直されることになるでしょう。本稿では、平康慶浩氏の著書『給与クライシス』(日経BP日本経済新聞出版本部)から一部を抜粋し、「脱メンバーシップ型雇用」の未来に、私たちはどう備えるべきか考えます。

ジョブ型志向がもたらす退職金のない未来

 

いわゆる職務(ジョブ)型を志向していくと、世界標準では退職金がない、という事実を知る経営者も増えてゆく。日本の退職金制度は、メンバーシップ型を構成する年功処遇の中に位置づけられるもので、戦後の労働争議の中、給与の後払い的性質から始まった。

 

1970年代には導入率90%を超えた退職金だが、バブル崩壊後位置づけを多様化させてゆく。

 

現状では退職金はあるものの、その水準が企業によってばらばらになっている。大手企業であれば、そもそもの退職金発祥時の「生涯を電気産業に捧げたる如き従業員に対しては定年退職後約10年間の生活保障をなす」という暫定協定をもとにおよそ退職時月給の60か月分相当を支給することが多いが、中小企業では1000万円に満たないことも多い。

 

一方、企業側の雇用義務が65歳まで延び、その後70歳までの就業機会確保が努力義務化してはいるものの、それ以降は自助努力が必要になる。70歳前半の健康年齢からその後の平均寿命まで10年以上の生活を保つために、年金以外に2000万円が必要だという数字が独り歩きしたが、確実に訪れる未来でもあると思う。

 

意識としては、会社や政府に頼らない方法を考えていかなくてはならない。それもまた脱メンバーシップ型社会なのだ。

 

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給与クライシス

給与クライシス

平康 慶浩

日経BP日本経済新聞出版本部

同じ仕事をしている限り、給与は「ずっとそのまま」の時代!? これからやってくる”ジョブ型”時代を僕たちはどう生きるか―― ”そうはいっても、日本はまだまだ年功序列でしょ? ” ”なんだかんだ言って終身雇用は続く…

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