※画像はイメージです/PIXTA

金融業界においてM&Aが活発化しています。どのような背景があり、金融業界のM&Aは盛んに行われるようになったのでしょうか?金融業界の現状やITとの関連から、金融業界のM&Aを見ていきましょう。実際に行われたM&Aの事例も紹介します。

3. ITが金融業界に与える影響

 

金融業界の中でも特に銀行は、早期のDX化が必要な状況と分かりました。一方、時々刻々と進化するITは、金融と融合し『フィンテック』や『エンベデッドファイナンス』が広まっています。これにより、金融業界はどのような影響を受けるのでしょうか?

 

3-1. フィンテックの普及

 

フィンテック(Fin Tech)は金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせた言葉です。金融と情報技術を結びつけて開発される、あらゆる革新的なサービスや事業領域を意味します。

 

例えばスマホを使った『キャッシュレス決済』や『送金サービス』、AIで投資や資産運用に役立つ分析を行う『ロボ・アドバイザー』などが、フィンテックに分類されるサービスです。既に多くの人が身近なサービスとして利用しています。

 

またフィンテックは企業の業務効率化にも有効です。新しい金融システムを低コストで導入でき、生産性向上や人材不足の解消にもつながるでしょう。

 

3-2. デジタル活用によるリテールの強化

 

ITが社会に広く普及した結果、金融機関でも個人や中小企業など、小口客を扱うリテールのデジタル化が重要になっています。ただし、単にデジタル化すればよいわけではありません。

 

デジタル化とともに差別化も重要です。例えば実店舗で個別具体的な相談をした後、スマホアプリや公式サイトなどデジタルチャネルから申し込みできる流れを作れれば、顧客の手間を減らせます

 

金融機関の中には、地域の店舗網を持っているケースもあるでしょう。つながりを生かせば、金融機関から店舗へ送客する仕組み作りが可能です。アピール次第で地域活性化につながる取り組みになるでしょう。

 

加えて、使いやすいアプリやサイト作りも重要です。デジタルネイティブ世代(20~30代)はもちろん、高齢者にも利用しやすい設計が求められます。

 

3-3. エンベデッドファイナンスの拡大

 

金融業者以外が金融事業へ参入するのが『エンベデッドファイナンス』です。世界を代表する大企業が、自社サービスと金融をつなぎ、より便利に決済できる仕組みを整えています

 

エンベデッドファイナンスは急速に広がっており、IT関連企業だけでなく小売業を営む企業も続々と参入している状況です。そのため、金融サービスを提供できる企業の買収が頻繁に行われています。

 

4. 金融業界がM&Aを行う理由

 

一般に広まっているフィンテックは、金融業界にとって効果的な買収対象です。フィンテック企業の持つ技術を取り込めば、スピーディーな収益改善やサービス創出が実現するでしょう。また海外進出を目的としたM&Aも実施されています。

 

4-1. 財務基盤を強化し収益を改善するため

 

日銀のマイナス金利政策によって、銀行は収益が低下しています。経営体力は改善しつつありますが、引き続き改善が必要です。

 

加えて1990年代後半から2001年に行われた大規模な規制緩和によって、銀行同士の合併・グループ再編・異業種への参入などが実施しやすくなりました。

 

その結果として活発化しているのが、財務基盤の強化を目的としたM&Aです。規模の拡大やコスト削減のために銀行同士のM&Aが進み、業界再編が行われています

 

またさらなる利益率向上を目指し、フィンテック企業の技術を取得する目的でのM&Aも増えています。

 

4-2. 最新技術による新たなサービス創出のため

 

フィンテックの発展は目覚ましいものがあります。そこで金融業界では、最新技術を取り入れ競争力を高めるために、フィンテック企業の買収を行うケースが増加中です

 

銀行が何もないところからフィンテック事業を始めるには、膨大な資金と人材を用意しなければいけません。やっと開発できた頃には、既に新しい技術が登場し陳腐化している可能性もあります。

 

一方、既に技術を持っている企業を買収すれば、今すぐフィンテックを活用したサービスの提供が可能です。事業に必要な技術や人材も既にそろっているため、効率的に利益率向上を目指せる方法として行われています。

 

4-3. 海外進出を実現するため

 

銀行によるM&Aは国内にとどまらず、海外企業を買収する事例が増えています。海外に拠点があれば、さまざまな取引を世界規模で実施できるからです。

 

世界規模の取引が可能となれば、事業のスケールをこれまで以上に大きく拡大できます。また買収によって、海外企業の拠点がある地域の経済発展にも貢献できるでしょう。

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。

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