急速な人口減少に伴い、様々な業界でマーケットの縮小が続いています。苦境に立たされる中小企業は、生き残りのためにどのようなビジネスモデルを築くべきでしょうか。本連載では、戸波亮氏の『葬儀会社が農業を始めたら、サステナブルな新しいビジネスモデルができた』の中から一部を抜粋し、新事業展開によって経営基盤強化を実現した葬儀会社の事例を紹介しながら、中小企業の生き残り戦略を探ります。

中小企業の「負けない経営」には挑戦が不可欠

 

残存者利益を目指す経営は、別の言い方をすれば「負けない経営」といえます。ただ、負けない経営というのは何もしないで現状維持のままじっとしていることとは違います。ここは重要なポイントです。

 

負けない経営ではむしろ、積極的にいろいろな挑戦を行います。中小企業は特に、これまでの本業とつながりのある新しい事業にたくさん挑戦すべきです。

 

新しいことはやってみないとうまくいくかどうか分かりません。そこを慎重になり過ぎて、何もしないのが最悪の選択です。失敗の可能性を踏まえつつ、損しても問題ない範囲で挑戦することです。いっさい失敗しないとか、損失はゼロで済ませたいと考えるのではありません。

 

そんなことを考えると新しいことは何もできません。現状維持でなんとかなればいいですが、中小企業を取り巻く状況はそんなに甘くありません。それが分かっていながら一歩を踏み出す勇気がなく、いつの間にかぎりぎりまで追い込まれ万事休すとなるケースを私はたくさん見てきました。

 

私自身は自分のことを勝負好きだと思っています。学生の頃は競馬が趣味で、あちこちの競馬場に通っていました。出走馬の血筋や調教の状態などから勝ち馬を予想し、馬券を買い、レースで自分の読みが正しかったかどうかを確かめるのが面白いのです。

 

アルバイトで稼いだお金を手に競馬場へ行くときは、帰りの電車賃だけは取っておくことをルールにしていました。ところがあるとき、熱くなって最後にもう1回だけリベンジしようと電車賃の半額を突っ込んだものの見事に外れ、家まで2時間以上歩いて帰ったことがありました。

 

挑戦するのはいいが、限度は守らないといけないということが骨身に染み、それ以降は二度としなくなりました。

 

人生論というか価値観の話になりますが、一度きりの人生をどのように過ごすのか。それは一人ひとりの選択です。私の場合、挑戦しないと成功も手にすることはできないし、再起不能なほどの失敗でなければ失敗した数だけ学びがあると考えています。

 

ですから、撤退する余裕は残しながら、ベット(賭け)するときは思い切って突っ込みます。そして、うまくいかなければ当初に予定していた損切りラインで手じまいします。

 

成功は失敗を恐れていては手に入りません。「ノーリスク・ノーリターン」です。

葬儀会社が農業を始めたら、 サステナブルな新しいビジネスモデルができた

葬儀会社が農業を始めたら、 サステナブルな新しいビジネスモデルができた

戸波亮

幻冬舎メディアコンサルティング

市場が縮小する業界で生き残る! 外注業務の内製化を突き進めてたどり着いた異業種参入 経営危機から8つの事業を展開、 資産総額27億円まで成長できた戦略とは―― 日本の人口が減少するのに伴って、市場規模が縮小…

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