出版不況といわれて、雑誌が次々と廃刊に追い込まれていますが、それは自然保護や野生動物を前面に取り扱った自然科学誌も同様です。そんななか、60年以上も刊行を続ける雑誌があるといいます。みていきましょう。

日本の自然と人のかかわりを見つめ続ける専門誌

日本の出版界で、自然保護や野生動物を前面に取り扱った雑誌は、苦戦を強いられつづけてきました。自然科学誌では『科学朝日』(朝日新聞社・1941年創刊)、『アニマ』(平凡社・1978年創刊)などが一般書店でも人気を博していましたが、1993年以降、軒並み休刊に追い込まれ、2000年には『インセクタリウム』(東京動物園協会・1964年創刊)、『SINRA』(新潮社)、『サイアス』(朝日新聞社)の三誌が休刊しました。アメリカの『ナショナル・ジオグラフィック』のような長寿で素晴らしい写真を多用した雑誌が育つ土壌が日本にはないのは、とても残念なことです。

 

1960年、日本が高度成長期に向け、全国で大規模な開発がはじまりつつあった頃、『自然保護』という雑誌が誕生しました。創刊号はタブロイド版のニュースレターで「1本の草にも木にも愛護の手」というスローガンが掲げられ、海外の自然保護と日本の状況、自然と文化のつながり、自然保護の生態学など、今なお世界の自然保護の最先端の話題から、各地の自然のレポートが寄せられています。

 

日本自然保護協会の機関誌として誕生したこの雑誌は、現在、創刊から593号を数えるロングセラーの自然保護情報誌として、日本の自然の今と自然と人とのつながりを伝え続けています。

 

 

人と自然と文化・持続可能な社会へのヒントが満載

80年代になると『自然保護』誌は、地方自治体、学校、大学、公共図書館でも購読が広がり、読者も専門家から一般家庭、児童にまで広がっていきました。人と自然のかかわりを親しみやすく、全国の自然保護問題をわかりやすく伝えていくため、1987年4月からはカラーグラビアが登場するようになりました。

 

90年代に入ると、自然保護や生物多様性に関する国際的な会議が活発に行われ、地球環境問題が注目を浴びるようになり、写真やカラー図版が多用され、毎号、多様でユニークなテーマで特集が組まれるようになりました。

 

 

 

近刊の特集テーマの一部をあげると、

 

●お雑煮の謎を追え(2022年1・2月号)

●一緒に世界を広げる 小さなこどもと自然観察(2021年11・12月号)

●自然のちからで、明日をひらく。Nature-based Solutions(2021年9・10月号)

●驚きいっぱい!夜の自然観察(2021年7・8月号)

●人と自然と妖怪(2021年1・2月号)

●これからの自然保護を拓く読書(2020年9・10月号)

●世界に推したい!日本の生き物(2020年5・6月号)

●テクノロジーと自然保護(2019年1・2月号)

 

身近な自然観察の話題から、自然にまつわる文化や今日本で一番ホットな自然保護の話題まで網羅した、国内唯一のこの雑誌。今月末までの期間限定で、一般の方も割引購入できるセールキャンペーンが行われています。

 

セールの対象は、2019~2022年に発行した18号で1号定価1300円が62%OFFの500円です。日本自然保護協会に毎年5,000円の寄付で毎年6号購読できる『自然保護』誌のお試し読みにもお薦めです。

 

◆『自然保護』誌セールキャンペーンの在庫リストやご注文方法は、こちらへ。

https://www.nacsj.or.jp/news/2023/02/34410/