(※写真はイメージです/PIXTA)

会社は基本、性善説に基づいていて欲しいものです。「悪さはしないだろう」。そう思えるからこそ、経営者は社員を信頼し、裁量を与え、その結果、事業も健全に成長していくはずです。もしも、社員がその暗黙のルールにあぐらをかき、悪事を働いたら…。そこで、実際にココナラ法律相談のオンライン無料法律相談サービス「法律Q&A」によせられた質問をもとに、社員の不正行為に対する処罰について、加藤惇弁護士に解説していただきました。

損害賠償を請求することはできるか

損害賠償請求とは、発生した損害の支払いを求めることをいいます。

 

ここでいう損害というのは、仮に相手の違法な行為がなければ存在したはずの財産状況と、現在の実際の財産状況を比較した際の金銭的な差額のことをいいます。

 

今回発生した主な損害は、実際には働いていないのに労働時間として扱ってしまったことで多く支払ってしまった賃金です。

 

そうすると、多く支払ってしまった賃金の返還請求とほとんどが重複することになります。厳密にいえば、法的に細かくみると違いがないわけではありません。

 

たとえば、裁判で損害賠償を請求する場合には、かかってしまった弁護士費用の一部などの他の損害もあわせて請求できるといった違いがあります。もっとも、それはあくまでも裁判で請求をした場合の違いです。

 

今回のケースについて、話し合いで解決することを目指すような場合には、それほど意味のある違いではありません。

警察に被害届を提出することはできるか

不正打刻をすることで賃金を多く受け取る行為には、詐欺などの犯罪が成立します。警察に被害届を提出することも十分に考えられます。

 

もっとも、被害届を出そうとしても警察が被害届を受理してくれないということはよくあります。

 

特に詐欺などの犯罪は、ある程度証拠資料がしっかりと揃っていないと警察もなかなか被害届を受理してくれません。警察に被害届を受理してもらうためには、犯罪が成立している証拠資料をしっかりと集めておく必要があるといえます。

 

今回についていうと、GPS機能付きのタイムカードに記録されているスタッフが打刻した場所、監視カメラの映像、タイムカードの打刻時間の記録、賃金を支払った記録などを挙げることができます。

 

わざと不正に打刻をしていることが資料だけからもわかるくらいに証拠をそろえたうえで、会社の所在地を管轄する警察署にご相談すると良いと思います。

 

また、被害届を受理してもらいやすくするためには、警察の方にも理解しやすいようにする必要があります。

 

証拠資料を単に警察に渡すだけでなく、どのような出来事があったのか証拠資料を見せながら丁寧に説明することで、被害届を受理してもらいやすくなります。

本記事は、ココナラ法律相談のオンライン無料法律相談サービス「法律Q&A」に寄せられた質問をもとに弁護士が作成した解説記事です。

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