50年後の日本の人口予測「3割減・8,700万人」で待ったなし! 「給付金」は?「税制」は?…日本の「少子化対策」の課題とは

50年後の日本の人口予測「3割減・8,700万人」で待ったなし! 「給付金」は?「税制」は?…日本の「少子化対策」の課題とは
(※画像はイメージです/PIXTA)

2023年4月26日、厚生労働省の研究機関である国立社会保障・人口問題研究所は「日本の将来推計人口(令和5年推計)」を公表しました。これによると、50年後の日本の人口は約8700万人に減少する見通しです。平均寿命が延びる一方で少子化が加速する観測であり、子育て政策の強化が求められます。現在の国による子育て支援策の概要と課題について解説します。

◆児童手当

「児童手当」は、中学校3年生以下の子どもを養育している人が、子ども1人あたり1ヵ月10,000円~15,000円を受け取れる制度です。

 

児童手当には所得制限の制度があります。「世帯主」の「所得」と「親族の数」を基準とするものです。

 

所得制限は「所得制限限度額」と「所得制限上限額」の2段構えになっています。

 

まず、「所得制限限度額」を超えると給付額は「特例給付」として一律月5,000円に減額されます。そして、その月5,000円の特例給付は「所得制限上限額」を超えると受け取れません。

 

しかし、この所得制限の制度については、以前から「子育て支援という目的と相いれない」「世帯ごとの所得ではなく世帯主の所得で判断するのは不合理」等の根強い批判があります。

 

それに加え、現政権が少子化対策の強化を打ち出していることもあり、2023年に入ってから、政府・与党においても、所得制限を撤廃する方向で調整が行われています。

 

2. 高校等の授業料の実質無償化

◆高等学校等就学支援制度

「高等学校等就学支援金制度」は、一般に、高校等の授業料の「実質無償化」とよばれるものです。

 

高等学校等に通う子の両親の収入の合計額を基準として、以下の計算式で算出された額が30万4,200円未満であれば、実質無償化の対象となります。

 

(保護者の市町村税の課税標準の額)×6%-(市町村民税の調整控除額)

 

文部科学省「2020年4月からの『私立高等学校授業料の実質無償化』リーフレット」よ¥
【図表】世帯の年収目安と支給上限額 文部科学省「2020年4月からの『私立高等学校授業料の実質無償化』リーフレット」より

 

3. 税制上の優遇措置(所得控除)

次に、税制上の優遇措置について解説します。「扶養控除」と「ひとり親控除」があります。

 

◆扶養控除

扶養控除は、16歳以上の子を扶養している人が対象となります。子の合計所得金額が48万円以下(給与収入のみの場合は103万円以下)の場合に、一定額の所得控除を受けられる制度です。

 

◆ひとり親控除

ひとり親控除は、2020年より新設された制度です。

 

婚姻歴の有無に関係なく、「シングルマザー」「シングルファザー」であれば、所得等の所定の要件をみたせば、35万円の所得控除を受けられます。

4. 労働法制を通じた支援

◆産前産後休業

「産前産後休業」は、母親が「産前6週間以内」と「産後8週間以内」に取得できる休業です。

 

◆産後パパ育休

「産後パパ育休」は、父親が「子の出生後8週間以内」に取得できる休業です。

 

2022年10月から新たにスタートしたもので、父親にも、母親の「産前産後休業」に準じた休業を認めたものです。

 

これにより、夫婦で協力して子育てに取り組むことが容易になります。

 

なお、「子の出生後8週間」を経過した後は、産後パパ育休とは別に育児休業を取得することができます。

 

◆育児休業

「育児休業」は、母親と父親の両方が、原則として子が1歳になるまでの間に取得できる休業です。

 

法律上の制度なので、雇用主は取得を拒否することができません。しかし、男性の取得率は2021年において13.97%ときわめて低水準にとどまっており(厚生労働省「令和3年度(2021年度)雇用均等基本調査」)、取得率の向上が課題となっています。

 

◆両立支援等助成金

「両立支援等助成金」は、雇用主(中小企業)に対する助成金です。

 

雇用主が、従業員に対し、仕事と出産・育児、介護などとの両立をしやすくする所定の措置を行った場合に受け取ることができます。

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