「設置型社食サービス」導入後、離職者なし。「社員の健康=会社の健康」を証明する〈企業の実例〉

「設置型社食サービス」導入後、離職者なし。「社員の健康=会社の健康」を証明する〈企業の実例〉
画像:PIXTA

企業が従業員の健康を気遣い、手厚い福利厚生を設けたり、デジタルデバイスを利用して体調を管理させたりする事例が相次いでいることを知っているだろうか。少子・高齢化を背景とした人手不足が深刻となっていることや新型コロナウイルスの感染拡大などが背景にある。国連が2015年に採択したSDGs(持続可能な開発目標)では、「すべての人に健康と福祉を(目標3)」、「働きがいも経済成長も(目標8)」を掲げている。企業は「自社のブランディングの一環」としても従業員の健康サポートを充実し、目標を達成しようとしている。本連載では、全国で法人向けの出張マッサージサービスを手掛ける株式会社イーヤスの遠藤基平社長が、その経験をもとに「健康SDGs」を実践する企業を紹介し、その意義を具体的に解説する。

 

サラダやおかずを冷蔵庫に常備する会社も

設置型社食サービスは、オフィス内にお惣菜や軽食、サラダなどが入った冷蔵庫を置き、従業員が好きなタイミングで購入できるサービスです。隙間時間に社員の小腹を満たすこともできます。設置型社食サービスは栄養バランスのとれたメニューをいつでも楽しめるほか、お惣菜を持って帰って自宅で食べることも可能です。栄養バランスの取れた食事をいつでも味わえるため、一人暮らしの人に限らず、幼い子どもがいる人にも人気を集めています。

 

自動車整備業のS社は、2020年から設置型社食サービスを導入。栄養バランスの取れたおかずやサラダなどを社内の冷蔵庫に常備しています。S社の男性社員は食事でボリュームの多さを重視し、栄養バランスにこだわらない傾向にありました。しかし、設置型社食サービスを取り入れてからは、週に2~3回は利用している社員も多いそうです。

 

同社は「導入後に離職者はいないことから従業員満足度向上に繋がっている」と話しています。設置型社食を扱う業者では、在宅勤務者向けに自宅におかずやサラダなどを届けるサービスを提供しているところもあるそうです。

ヘルシー弁当「スマートミール」を会社に配達

建物管理サービス業のT社は、2019年からスマートミール認証弁当を導入することで、社員の健康維持・増進を目指しています。「スマートミール」とは、特定非営利活動法人日本栄養改善学会など13の学協会で構成される「健康な食事・食環境」コンソーシアム(共同事業体)により、審査・認証される食事のことです。スマートミール認証を受けた食事は、一食の中で、主食・主菜・副菜がそろい、野菜などの量や食塩相当量にも配慮した食事を取ることが可能です。

 

本社に500名在籍する大企業のT社は、スマートミール認証弁当を会社に配達してもらうサービスを取り入れました。実は同社が最初に検討したのは社員食堂でした。しかし、同社は外回りなどで外出している社員が多く、多くの拠点もあります。費用面や拠点間の不平等などの観点からスマートミールサービスを導入することにしました。

 

健康に配慮した宅配弁当を会社単位で注文する会社も増えている
健康に配慮した宅配弁当を会社単位で注文する会社も増えている

 

今はオフィス在籍者の半数以上の社員が利用し、「食事の意識が変わった」「体重が減少した」「健康診断の数値改善」などの報告が多いそうです。評判が良かったことから、グループ企業へも導入しています。

 

国の第3次食育推進基本計画では、「主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を1日2回以上ほぼ毎日食べる」ことを提案しています。しかし、農林水産省が2018年度に実施した調査によると、計画の目標を実践している人は58.6%にとどまりました。特に20代が30.7%と低い水準となっています。偏りがちな従業員の「食」。企業がサポートを強化し、社員の食生活を健全化することは、社員だけでなく、会社の健康をも守るといえるでしょう。

 

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