デモ行進の旗手を“突如放棄”し…「ここは自分の居場所じゃない。」少年ドラッカーが自ら「傍観者」としての生き方を選んだワケ

デモ行進の旗手を“突如放棄”し…「ここは自分の居場所じゃない。」少年ドラッカーが自ら「傍観者」としての生き方を選んだワケ
(※写真はイメージです/PIXTA)

マネジメントの父ともいわれる世界的経営学者でありコンサルタントのピーター・F・ドラッカー。彼が提唱した「ドラッカー理論」は世界的に有名ですが、じつは日本では多くの企業に“誤って”捉えられていると言います。本連載は、ドラッカー研究に50年以上携わっている二瓶正之氏の著書『徹底的にかみくだいた「自己目標管理」ドラッカーが本来伝えたかった目標管理』(春陽堂書店)を一部抜粋してお届けします。

ヴェルディの教訓──

高校卒業後、ドラッカーは大学に進学せず貿易会社に就職します。ドラッカーの両親や親戚のほとんどは大学を卒業していて学者や判事などの社会的地位に就いています。ドラッカーが大学に進学しなかったことは周囲の大人たちにとっては驚きでした。

 

ドラッカーはとにかく早く社会に出て自立したかったようです。しかし、高級官僚の父親は、ドラッカーの決断を歓迎しませんでした。それどころか、深い失望感とともにふさぎ込んでいました。

 

これには、ドラッカーもこたえたようで、父親のために働きながらの大学進学を決意してハンブルグ大学に入学します。しかし、授業には全く出席せず、学期末の試験だけ受けて進級するというありさまでした。

 

仕事は朝7時30分から夕方4時まで。仕事後は、職場近くにあった有名な市立図書館に通いつめ、毎日、ドイツ語、英語、フランス語の本を読みあさっていました。そして、週1回は、近くのオペラ座でのオペラ鑑賞を習慣としていたのです。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

というのも、フランクフルトのオペラ座は、売れ残った安い席のチケットを学生に無料で提供していたからです。

 

ドラッカーは、このオペラ座の上演作品で、『ファルスタッフ』というヴェルディの作品に遭遇します。この作品は信じ難い力強さで人生の喜びを歌い上げるものです。

 

ドラッカーは深い感動とともに圧倒されました。そして、この作品がヴェルディの最晩年(80歳)の作品であることを知って驚きます。当時のドラッカーの周囲に80歳まで生きた人は存在しませんでした。

 

さらに高齢で全く新しいスタイルのオペラの曲を書くというチャレンジに彼は脱帽しかありませんでした。

 

このときの深い感動体験によって、ドラッカーは目的・目標とビジョンをもって生涯挑戦し続ける生き方を学びます。オペラ座での感動体験が自己目標管理の考え方をより洗練させるベースになったことは間違いないでしょう。

徹底的にかみくだいた「自己目標管理」ドラッカーが本来伝えたかった目標管理

徹底的にかみくだいた「自己目標管理」ドラッカーが本来伝えたかった目標管理

二瓶 正之

春陽堂書店

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