(※写真はイメージです/PIXTA)

児井正臣氏の著書『自然災害と大移住――前代未聞の防災プラン』より一部を抜粋・再編集し、「首都圏近郊の空き家問題」「空き家を持ち続けるリスク」についてみていきます。

「空き家問題」1軒ずつ解決して行くには数が多すぎる

だからそのようなところに対しては、事前に移住する住民への手厚い支援を行い、跡地を自然に戻すような手を打つべきだ。

 

夕張市の大夕張地区の斜面にあった炭鉱住宅跡はすっかり見事な森林になっていて、ここに住宅街があったとはとても思えないような自然復旧ぶりだった。

 

だからもしも、今自然災害危険地域に住んでいる人々にこれらの空き家に移り住んでもらうことができれば、スカスカの状況が変わってくるだろう。

 

もちろんそれらの人たちが希望する移転先の条件と、実際の空き家の条件とが完全に一致するとは限らない。

 

しかし移転せざるを得ないような状況になれば、そう何もかも希望通りには行かず、ある程度の我慢はしてもらわないとならないだろう。

 

消滅する自治体の数が896かどうかはともかく、このなかには全域が自然災害危険地帯でありそれを理由に自治体を閉鎖するところもあるだろう。

 

逆に、首都圏近郊の自治体などで、自然災害危険地域からの人を呼び込むことによって街が復活し、新たな発展に向かうところも出てくるだろう。

 

空き家問題はどこの自治体でもその重要性を自覚し解決のための施策を打っているが、今やっていることは、空き家となっている建物1軒ずつを住民のコミュニティの場所にするなど有効活用しようとする施策がほとんどである。

 

もちろんこれもやらないよりはやった方が良いことだが、空き家問題は今や1軒ずつ丁寧にやって行くには数が多すぎる。

 

たくさんの空き家をまとめて解消するような施策が必要である。

 

 

**********

 

児井 正臣

1968年3月 慶応義塾大学商学部を卒業(ゼミは交通経済学)。

1968年4月 日本アイ・ビー・エム株式会社に入社。

1991年12月 一般旅行業務取扱主任者主任補の資格を取得。

本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『自然災害と大移住――前代未聞の防災プラン』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

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