(※写真はイメージです/PIXTA)

富裕層のなかには、子弟を海外の名門大学へ進学させたいと考える方が増えています。しかし、どのようなプロセスを経て進学させればいいのか、現地の教育事情はどうなっているのかなど、なかなかわかりにくいといえます。本記事では、日本から英国に移り住み、実際に英国で教育を受けた方に、事情を伺います。※本記事は、OWL Investmentsのマネージング・ディレクターの小峰孝史弁護士が監修、OWL Investmentsが執筆・編集したものです。

弟は名門イートン校からオックスフォード大学へ

OWL:ご兄弟のご経歴も伺っていいですか?

 

A氏:兄は、Aldenham Senior School(オルデナム・シニアスクール)という中学校・高校に通っていました。大学は、The University of Cambridge(ケンブリッジ大学)も合格していたのですが、University of Bristol(ブリストル大学)に進学し、Mechanical Engineering(機械工学)を専攻していました。

 

弟は、Eton College(イートン校)からUniversity of Oxford(オックスフォード大学)に進学し、Political Philosophy and Economics(政治哲学経済)を専攻していました。

 

(Eton Collegeの公式サイトより)
Eton Collegeの生徒たち (Eton Collegeの公式サイトより)

 

(Eton Collegeの公式サイトより)
Eton Collegeの校舎 (Eton Collegeの公式サイトより)

 

OWL:イートン校というと日本人でもよく知られているパブリックスクールですね。日本人でも入れるのですね。

 

A氏:一般的には、日本人には難しいと思います。イートン校のような名門パブリックスクールは、13歳から入学するのが普通なのですが、10歳になる年の6月末までに入学希望届を出さないと、学費免除の特別枠以外の通常枠には入れないなど、かなり早い時期から準備をすることが求められるのです。妊娠中から準備するという話もあるくらいです。

 

OWL:それは大変ですね!

 

A氏:弟の場合、音楽(ピアノ)が得意だったこともあり、小学校(私立全寮制小学校)の先生に後押しされてイートン校の音楽奨学生徒枠で受けられたという事情があります。

 

OWL:Aさんは、どの大学に進んで何を学んだのですか?

 

A氏:高校の頃には日本語を使わなくなっていたので日本語力が落ちていて、日本語も学べる大学に行こうと思い、The University of Sheffield(シェフィールド大学)に入り、Social policy(社会政策)を学びました。

 

OWL:入学試験の仕組みはどうなっているのですか? 日本であれば、基本的にペーパー試験で決まるのですが、違うのでしょうか?

 

A氏:各大学で入学試験を実施するわけではなく、出願書類、学校の成績表、面接などで条件付き入学オファーをもらいます。その条件とは、英国全土共通で受けるA-Levelというテストの結果に直結しており、テストの結果次第で合否が決まります。いまでは、「UCAS(Universities and Colleges Admissions Service)」という統一的な出願機関のオンライン化が進んだので、複数の志望先への出願、出願後の変更、出願進行状況の追跡・確認、合否通知の受け取り、入学意思の返事まで、非常に便利におこなえるようになりました。

「学び方重視」の日本、「考え方重視」の英国

OWL:Aさんの場合、小学校時代にイギリスに来てから、大学まで完全にイギリスの教育のシステムのなかで学んできましたが、日本の教育と英国の教育を比較してどのように思いますか?

 

A氏:日本の教育は、基礎学力を身につけさせる仕組みとして、よくできていると思います。一方、英国の教育は、ひとつの物事から深く考えさせようとしていると思います。いわば、「学び方重視」の日本の教育、「考え方重視」の英国の教育という対比ができると思います。

 

OWL:なるほど。

 

A氏:英国の小学校から高校では、どの学校を選ぶのか、どうやって合格しやすく後押ししていくかなど、親のやるべきことが多く、日本人にとっては非常に負担が大きいと思います。ですから、英国の教育を受けさせたいというのであれば、高校までは日本で学び、大学から英国というのでもいいかなと思います。

 

OWL:詳しいお話をありがとうございます。

 

 

小峰 孝史
OWL Investments
マネージングディレクター・弁護士

 

 

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