(※画像はイメージです/PIXTA)

指導者の役割は、指導を受ける側に自分の取り組みが「適切でない」と気づかせることです。反対に、恐怖で相手を指導するような指導は絶対にNG。本稿では、「名指導者」として名をはせたジェフ・ヴァン・ガンディやジネディーヌ・ジダン、小出義男のコーチングから、優れた指導者の条件について考えます。※本連載は吉田洋一郎氏の著書『PGA 超一流たちのティーチング革命』(実務教育出版)から一部を抜粋し、再編集したものです。

自己肯定感を上げる指導法

これまで私が出会った名コーチたちは、物静かで知的さが感じられ、その落ちつきが醸す雰囲気が話のしやすさにつながっていました。レッドベターも、相手が言うことにじっくりと耳を傾けていました。

 

教えるという気持ちが強すぎると、ひとりよがりになり、教えることが自己満足になりがちです。相手があるからこその指導であり、その先にある目的が共通であることを示すことができなければ、良い指導にはなりません。

 

レッドベターは話を聞いた後、自信にあふれた話し方で自分の考えを言い切ります。自分の知識と実績という裏づけがあるからです。信用の土台がある人物に指導を受けると、教わる側は素直にそれを信じることができます。それで指導を受ける側が自信を持てるようになり、モチベーションが上がっていくのです。

 

陸上長距離の指導者だった故小出義雄監督が高橋尚子さん(愛称Qちゃん。シドニー五輪、マラソンで金メダル)に、「Qちゃんは天才だよ」と毎日言い続けたことで、Qちゃん自身がそう思えるようになったという話を聞いたことがあります。

 

選手は、「自分はすごい」「自分はできるんだ」と思い込むようにしても、どこかで「でも本当か?」と疑うことがあるのではないでしょうか。

 

信頼できる人にほめられると自己肯定感が上がり、自己肯定感が上がれば自信がついて楽しくなります。

 

レッドベターは、選手をネガティブにさせない指導の達人です。選手に対して、「いいショットを打ったな、完璧じゃないか」などと大げさにほめてモチベートします。私は、ゴルファーは自分に厳しい人が多いと思っています。どう見ても良い状態なのに満足しない人が多いからです。80%の仕上がりでいいところを100%にならないと合格点を出さない。完璧になるまで納得してくれない人もいます。

 

そうした人には、「完璧ですよ。今日はこれぐらいにしましょう」とほめることで納得してもらうようにします。できているかどうかがわからない、自信を持てない人に対し、客観性をもって伝えるのです。

 

自信が持てない人に対しては、認めることが上達の一番の近道になることがあるのです。

 

吉田 洋一郎
ゴルフスイングコンサルタント

PGA 超一流たちのティーチング革命

PGA 超一流たちのティーチング革命

吉田 洋一郎

実務教育出版

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