(※写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「宅森昭吉のエコノミックレポート」の『経済指標解説』を転載したものです。

 

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生産は前月比▲4.6%と3ヵ月ぶりの低下。前年同月比は3ヵ月連続低下

 

基調判断は3ヵ月連続「総じてみれば、生産は弱含んでいる」に据え置き

 

景気動向指数・基調判断2ヵ月連続「足踏み」へ。後退の可能性は2月の動向次第に

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鉱工業生産

 

●鉱工業生産指数・1月分速報値・前月比は▲4.6%と3ヵ月ぶりに低下した。部材供給不足や海外・国内需要の減少を受け、自動車工業をはじめ15業種中12業種が低下したことで全体でも大幅な低下となった。季節調整値の水準は91.4で、22年5月の88.0以来の低い水準になった。前年同月比は▲2.3%で3ヵ月連続の低下である。

 

●1月分鉱工業生産指数では、全体15業種のうち自動車工業、生産用機械工業など12業種が低下、汎用・業務用機械工業など3業種が上昇となった。

 

●経済産業省の基調判断は21年11月分から22年3月分まで、「生産は持ち直しの動きがみられる」になっていたが、22年4月分で「生産は足踏みをしている」に下方修正され、5月分では「生産は弱含んでいる」に連続して下方修正されていた。6月分で、「生産は一進一退で推移している」に上方修正され、7月分でも、「生産は一進一退で推移している」の判断は継続であった。8月分では、「生産は緩やかな持ち直しの動き」に上方修正され、9月分でも同じ判断だった。10月分では「生産は緩やかに持ち直しているものの、一部に弱さがみられる」に下方修正された。11月分で、6ヵ月ぶりに「生産は弱含んでいる」に下方修正された。今回23年1月分も前回22年12月分に続き、判断据え置きになった。

 

●製造工業予測指数1月分は前月比0.0%と横這いの見込みであった。過去のパターン等で製造工業予測指数を修正した経済産業省の機械的な補正値では、1月分の前月比は先行き試算値最頻値で▲4.2%の低下の見込みで、90%の確率に収まる範囲は▲6.5%~▲1.9%になっていた。実際には、鉱工業生産指数の前月比が▲4.6%の低下になったが、これは製造工業予測指数の前月比を4.6ポイントと大きく下回ったが、試算値最頻値に対しては0.4ポイント下回るにとどまった。

 

●1月分速報値の鉱工業出荷指数は、前月比▲3.1%と5ヵ月連続の低下になった。前年同月比は▲2.4%と3ヵ月連続の低下になった。

 

●1月分速報値の鉱工業在庫指数は、前月比▲0.9%と2ヵ月連続の低下になった。前年同月比は+3.2%と17ヵ月連続の上昇となった。

 

●1月分速報値の鉱工業在庫率指数は、前月比+2.5%と3ヵ月連続の上昇になった。前年同月比は+9.6%と17ヵ月連続の上昇となった。

 

●鉱工業全体の在庫循環の動きをチェックするために、縦軸に鉱工業在庫指数・前年比、横軸に鉱工業出荷指数・前年比をとった在庫サイクル図をつくると、20年10~12月期、21年1~3月期では「意図せざる在庫減局面」に、4~6月期、7~9月期では「在庫積み増し局面」だった。10~12月分では、「在庫積み上がり局面」となった。22年1~3月期、4~6月期、7~9月期も「在庫積み上がり局面」継続となった。10~12月分では、在庫が前年比+3.3%、出荷が前年比0.0%、23年1月分では、在庫が前年比+3.2%、出荷が前年比▲2.4%で、引き続き「在庫積み上がり局面」になった。

 

 

●鉱工業生産指数の先行きを製造工業予測指数でみると2月分は前月比+8.0%、3月分は前月比+0.7%上昇の見込みである。過去のパターン等で製造工業予測指数を修正した経済産業省の機械的な補正値でみると、2月分の前月比は先行き試算値最頻値で+1.3%の上昇になる見込みである。90%の確率に収まる範囲は▲1.0%~+3.6%になっている。

 

●先行きの鉱工業生産指数、2月分に先行き試算値最頻値前月比(+1.3%)で延長し、3月分を製造工業予測指数前月比(+0.7%)で延長すると、1~3月期の前期比は▲3.2%の低下になる。一方、2月分・3月分を製造工業予測指数前月比(+8.0%、+0.7%)で延長すると、1~3月期の前期比は+1.0%の上昇になる。1~3月期の生産指数前期比は上昇・低下の両方の可能性がありそうだ。

アニマルスピリッツ指標

●経済産業省は製造工業生産予測指数からアニマルスピリッツ指標を作成している。21年6月調査結果で、アニマルスピリッツ指標(生産活動マインド指標:DI)は10ヵ月連続のプラスの数値となり、企業の生産マインドは強気超の状況が続いていたが、21年7月~23年2月調査結果ではDIは20ヵ月連続のマイナスになっている。23年2月調査結果のDIは▲11.8で1月調査の▲11.7から僅かに低下した。

 

1月分の景気動向指数・速報値予測

●1月分の景気動向指数・速報値では、先行CIが前月差▲0.4程度の下降になると暫定的に予測する。速報値からデータが利用可能な9系列では、新規求人数、新設住宅着工床面積、消費者態度指数、日経商品指数の4系列が前月差寄与度プラスに、最終需要財在庫率指数(逆サイクル)、鉱工業生産財在庫率指数(逆サイクル)、マネーストック、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの5系列が前月与度マイナスになると予測する。

 

●1月分の一致CIは前月差▲2.7程度の下降になると暫定的に予測する。速報値からデータが利用可能な8系列では、商業販売額指数・小売業1系列が前月差寄与度プラスに、生産指数、鉱工業生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数、商業販売額指数・卸売業、有効求人倍率、輸出数量指数の7系列が前月差寄与度マイナスになるとみた。

 

●1月分で景気の基調判断は、3ヵ月連続で、景気拡張の動きが足踏み状態になっている可能性が高いことを示す「足踏み」になると予測する。予測通りだと前月差は5ヵ月連続下降、3ヵ月後方移動平均の前月差は4ヵ月連続下降、3ヵ月後方移動平均の前月差もマイナスに転じるという厳しい内容になるが、7月後方移動平均・前月差は1標準偏差の▲1.00以上のマイナス幅に届かないとみられるため、事後的に判断される景気の山が、それ以前の数ヵ月にあった可能性が高いことを示す「下方への局面変化」に下方修正されるための「7ヵ月後方移動平均の符号がマイナスに変化し、マイナス幅(1ヵ月、2ヵ月または3ヵ月の累積)が1標準偏差以上、かつ当月の前月差の符号がマイナス」という条件は満たさないと予測される。2月分の結果が、判断変更につながるかどうかを決定づけるので注目される。

 

●1月分の先行DIは44.4%程度と景気判断の分岐点の50%を下回ると暫定的に予測する。速報値からデータが利用可能な9系列中、新規求人数、消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数の4系列がプラス符号に、最終需要財在庫率指数(逆サイクル)、鉱工業生産財在庫率指数(逆サイクル)、新設住宅着工床面積、マネーストック、中小企業売上げ見通しDIの5系列がマイナス符号になるとみた。

 

●1月分の一致DIは12.5%程度と景気判断の分岐点の50%を下回ると暫定的に予測する。速報値からデータが利用可能な8系列中、商業販売額指数・小売業1系列がプラス符号に、生産指数、鉱工業生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数、商業販売額指数・卸売業、輸出数量指数、有効求人倍率の7系列がマイナス符号になると予測する。

 

(2023年2月28日)

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2023年1月分「鉱工業生産指数・速報値」について【エコノミストが解説】』を参照)。

 

 

宅森 昭吉

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

理事・チーフエコノミスト

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