韓国のGDPが「20年で約4倍」になったワケを探ると見えてくる!日本経済停滞の理由と復活のカギ

韓国のGDPが「20年で約4倍」になったワケを探ると見えてくる!日本経済停滞の理由と復活のカギ
(※写真はイメージです/PIXTA)

高校での投資教育が必須になるなど、経済に対する教育への関心が高まっています。そこで本連載では、専門的な知見を生かし、経済に関するニュースをわかりやすく解説することで人気を博している経済キャスターのDJ Nobby氏が、著書である『実は大人も知らないことだらけ 経済がわかれば最強!』(KADOKAWA)から、日本と世界の経済について解説します。

韓国経済が抱える課題とは?

順調に見える韓国経済ですが、もちろん課題も抱えています。「貿易」・「少子高齢化」・「非正規労働者」・「産業」という4つのキーワードから見てみましょう。

 

◆貿易

韓国は、中国との経済的な繋がりが深い国です。輸出ランキングを見ると、中国のシェアが全体の24%。輸出の4分の1を中国に依存しています。

 

[図表3]韓国の輸出ランキング

 

一方、アメリカは12%、日本は4.7%。経済の大きな部分を輸出に頼っている韓国にとっては、中国の浮沈が経済の命運を握っていると言えます。

 

中国に輸出している品目として多いのは、化学工業製品・機械類。輸出の4割が半導体や電子部品です。一方資源の輸出は少ないので、ハイテク製品に支えられているという現状があります。

 

◆少子高齢化

中国や日本と同様、韓国でも少子高齢化により人口バランスの崩れが起きています。韓国の高齢者の割合は2024年頃に19.2%とOECDの平均を上回り、2045年には37%と日本を上回るという予想もあります。

 

特に問題視されているのが、高齢層の所得格差が大きいこと。韓国で国民年金制度が本格導入されたのは、1988年以降。

 

そのため、実際に年金給付を受けられる人が少ない現状があるのです。現在65歳以上で老齢年金を受給している人の割合は65%ほどにとどまり、さらに平均額は月6~7万円程度。年金のみで生活を維持することは困難です。

 

公的年金の給付が行きわたらない現状において、多くの高齢者が就労を続けています。また物価や教育コストの上昇などで現役世代の生活も楽ではなく、親類からの援助を得ることも難しくなりつつあります。

 

日本以上に高齢化が進行すると見込まれている韓国。社会保障政策について、大きな転換を迫られていると言えるでしょう。

 

[図表4]韓国の合計特殊出生率(2000年~2021年)

 

◆非正規労働者

韓国は、非正規労働者が多い国です。世界的に見ても高い比率で、全体の約33%が非正規労働者。

 

韓国映画などでもよく描かれる通り、国内の格差問題は深刻で、収入の少ない非正規労働者が多いことは社会の不安定要因になりかねません。また、収入の少ない層は結婚や出産にも消極的であることが多く、少子高齢化が加速する要因になると考えられます。

 

◆産業

韓国はハイテク産業が世界レベルに達している一方、重工業の技術レベルはまだ弱いと言われています。

 

特に自動車産業が弱く、国外への輸出も少ない現状。現代(ヒュンダイ)や起亜(キア)といったメーカーはありますが、日本やアメリカのメーカーに比べると存在感は薄いと言えます。

 

今後電気自動車へのシフトが進むなかで立ち位置が変わってくる可能性もあり、一大成長分野と捉えることもできそうです。

 

【Nobby‘s point】少子高齢化で、韓国の防衛が危ない!?

韓国は徴兵制度のある国です。

 

しかし少子高齢化により、戦闘要員の確保が難しくなる可能性が取り沙汰されています。北朝鮮との戦闘が行われたとしても、アメリカ軍の援助を前提としなければ防衛がままならない可能性もあります。

 

経済発展するということは、より高度な防衛体制が求められるということ。これからの政権にはハイレベルな国際協調の手腕も求められます。

次ページ日本が学ぶべき韓国経済発展
実は大人も知らないことだらけ 経済がわかれば最強!

実は大人も知らないことだらけ 経済がわかれば最強!

DJ Nobby

KADOKAWA

経済のしくみを知れば、お金に強くなる! 2022年から高校での投資教育が必須になるなど、経済に対する教育への関心が高まっている。これからの時代、自分らしく生きるための暮らしを手に入れるには、経済の知識と動きをしっ…

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