妻・子3人に“毎年110万円以内”を贈与していた男性、まさかの追加で「課税対象」のワケ【税理士が解説】

妻・子3人に“毎年110万円以内”を贈与していた男性、まさかの追加で「課税対象」のワケ【税理士が解説】
(※画像はイメージです/PIXTA)

増税のニュースが続く中、自分や家族の生活を守るために「税」に注目する必要があります。税金の意識が低いサラリーマンは、知らないで損をしていることが多いです。YouTube登録者数約35万人超(2023年3月現在)のYouTuberでもある税理士の田淵宏明氏と、本書で聞き手として登場する平岡直也氏の共著『なんで私の給料からイロイロ引かれるの? 税金弱者サラリーマンのお金の取り戻し方』(KADOKAWA)の中から一部を抜粋して紹介します。

[ヒロ税理士]

2024年以降、相続税対策のために生前贈与を行っても、7年間は無効となってしまう。かなり早期からの相続税対策が必要となるのだ。国は、より早く若い世代への財産引き渡しを促し、経済の活性化を目指していると言えるだろう。(※ただし、延長した4年間のうちに実施した贈与のうち合計100万円までは相続財産への加算なし)​

 

子に生前贈与した場合(2024年~)

 

これで相続税対策の定番である生前贈与はほぼ使えなくなったように思えるが……実はまだ残された対策はある! 6つほどご紹介しよう。

残された相続税対策は6つ

●生前贈与加算の対象者以外への贈与をする

 

➡生前贈与加算の対象となる人は、あくまで相続等で財産を取得した人に限られる。よって、孫や子の配偶者等への贈与は対象外! ただし、孫が遺贈により財産を受け取ったり、生命保険金の受け取りをした場合等は対象となるのでご注意を!

 

●2023年中に駆け込み贈与をする?

 

➡相続財産への持ち戻し期間が7年になるのは2024年以降に実施する贈与から。なのでこの2023年中に駆け込み贈与をするのもアリ(おそらく証券会社や信託銀行等から駆け込み贈与の提案や売り込みが来るはず)。



●住宅取得等資金の贈与の非課税特例を活用する

 

➡諸条件あるが、1,000万円又は500万円までを一括で贈与できる特例。

 

●教育資金の一括贈与・非課税特例活用(3年延長)

 

●結婚・子育て資金の一括贈与特例活用(2年延長)

 

➡これはまとめて後述するが、いずれも適用期限が2023年3月末までの予定だったが、令和5年度税制改正によってそれぞれ3年、2年延長となることがほぼ決まりとなった。これは朗報やね!

 

●相続時精算課税制度を活用

 

➡ちょっと上級編のお話をする! 贈与税の計算方法には実は暦年贈与と相続時精算課税制度という2つがある。今まで解説したのは暦年贈与のほうだ。

 

[ヒロ税理士]

さて、この相続時精算課税制度とは原則として60歳以上の父母または祖父母等から、18歳以上の子または孫などに対し、財産を贈与した場合において選択できる制度。この制度を選択する場合には、届出が必須。贈与年の翌年2月1日から3月15日の間に「相続時精算課税選択届出書」を受贈者の戸籍の謄本等一定の書類とともに贈与税の申告書に添付して提出する必要があるのだ。

 

この相続時精算課税を選択した場合、贈与税の額は、贈与財産の価額の合計額から、複数年にわたり利用できる特別控除額(生涯の限度額:2,500万円)。を控除した後の金額に、一律20%の税率を乗じて算出します。

 

暦年贈与のような、毎年の110万円の基礎控除は使えない。毎年贈与税の申告を行い、2,500万円のうち使い切れなかった残額を把握しておく必要があるのだ。もちろん未使用の控除額は翌年以降に繰り越しできる。

 

で、最後にオチがあります(笑)。この制度の贈与者である父母または祖父母などが亡くなった時の相続税の計算上、相続財産の価額にこの制度を適用した贈与財産の価額(贈与時の時価で計算)を加算して相続税額を計算する必要がある。

 

3年とか7年の縛りじゃなくて、精算課税を選択してからそれ以降の贈与については全額加算ということなのだ!

※本連載は、田淵宏明氏平岡直也氏の著書『なんで私の給料からイロイロ引かれるの? 税金弱者サラリーマンのお金の取り戻し方』(KADOKAWA)より一部を抜粋し、再編集したものです。

なんで私の給料からイロイロ引かれるの?  税金弱者サラリーマンのお金の取り戻し方

なんで私の給料からイロイロ引かれるの? 税金弱者サラリーマンのお金の取り戻し方

田淵 宏明 平岡 直也

KADOKAWA

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