(※写真はイメージです/PIXTA)

個別指導塾を運営する村山和世氏の元へ「勉強ができなくて困っている」と相談に訪れた、私立小に通う男の子とその父母。「自由遊び」と「学習能力」の関係について、村山氏の著書『わが子を不登校・引きこもりにしないための十ヵ条』より一部を抜粋・再編集してみていきます。

強制的に遊ばせる某私立小学校

私の知人に私立小に子供を入れた人がいる。その人の話では、子供が通うことになった有名小学校では授業が終了しても、すぐに帰宅するのを禁止して校庭で徹底して遊ばせるそうである。

 

その小学校の先生方は、有名小学校入試の関門をくぐった子の中の多くが、幼児期に充分遊んでいない子供だということを知っているのだ。"遊んでいない子"は"学習取得能力が低い"ことを経験的に知っているため、"強制的に"遊ばせるのに違いない。

 

しかし、全ての私立小でそういうことが行われているわけではない。私のやっている学習塾へ相談に来た男の子の小学校も、放課後に帰宅させないで遊ぶことをさせてはいなかった。

自我に“ひずみ”が生じた

私立小の受験は、極端に難しいことや変わったことをしているわけではない。しかし、募集人数よりも多く入学希望者がいるなら、何らかの形でふるいにかけなければならないのが学校側の立場である。

 

試験に通らせたいと思っている資金力のある親に“受験産業“が目をつけて小学校受験のための「予備校」が現れるのだ。

 

私立小受験が、すべからく悪いと言っているのではないし私立小に行っている子が「遊んでいない子」だと、きめつけているわけでもない。問題は、“お受験”のために、自由にすごす時間がけずられることにあるのだ。

 

幼児期には、ハタ目には「のんびり」しているような状態の中で、好きに遊ばせてあげないと、子供の意志・意欲に欠陥が生じるのである。「自分核」(自分という中心・自我ともいう)が脆弱になるために、意志・意欲が発露されないのである。

 

この男の子は「自分核」をつくるための道筋に「ひずみ」が生じてしまったのだ。“お受験”に通用しただけの就学時のレベルがあったにもかかわらず小学校低学年で低学力を生じてしまったのは、この「ひずみ」が大きいのである。

次ページ自分たちのやった事のどこに問題が?…怒り出した父親

本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『わが子を不登校・引きこもりにしないための十ヵ条』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

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