銀行員「税金対策していますか?」→社長「はい」と素直に答えてはいけないワケ【元メガバンク支店長が解説】

銀行員「税金対策していますか?」→社長「はい」と素直に答えてはいけないワケ【元メガバンク支店長が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

経営者であれば、できる限り「節税」したいと考える人は多いでしょう。しかし、税法上は問題ないとしても、銀行をはじめとした金融機関と付き合ううえではリスクがあると、メガバンクに32年勤務し、独立後は融資・補助金に強い専門家として資金調達支援を行う川居宗則氏はいいます。それはなぜか、詳しくみていきましょう。

時代に合ったビジネス感覚をもっているか

バブルの頃に創業した高齢社長に多いのですが、「昔の良かった時代」のイメージをひきずってアップデートできていないことがあります。

 

昭和の時代は大量生産、大量消費、大量廃棄の世の中だったのでモノがどんどん消費され、作れば作っただけ売れました。特に経営の工夫や戦略などがなくても誠実に仕事をしていれば、ほとんどの会社が右肩上がりで成長して来られたのです。

 

その時代の成功体験があるゆえに今までのやり方を信じてしまい、「自分の経営は正しい」「誠実に仕事をしていれば報われる」「今は経済環境が良くない」と思ってしまいがちです。

 

しかし残念ながらもう大量生産、大量消費、大量廃棄の時代ではなくなってしまいました。今はモノが売れなくなり、代わりに情報や体験により価値が置かれるようになっています。人々の価値観が有形(モノ)を手に入れることから無形(こころ)の充足に変わってきたのです。

 

消費行動も昔は「みんなと同じものを持ちたい(自分も標準レベルの生活がしたい)」でしたが、今は「自分に合ったものを持ちたい(ライフスタイルの多様化、個性)」へと変化しています。

 

また地球環境や資源の問題から、使い捨てよりも長く使えるものやリサイクルできるものを選択する時代になってきました。

 

それに、かつて日本のものづくりは世界一を誇っていましたが、今では中国や韓国に追い抜かれている製品があります。同じ製品を作るなら中国のほうが単価が安くでき、半導体ビジネスでは韓国のほうが最先端の技術力があるというのが世界共通認識となっています。

 

つまり昭和のビジネス感覚ではもはや通用しなくなっているのです。それに気がつかないと、前時代的な仕事しかできず世の中から後れを取ってしまう、いわゆるガラパゴス化に陥ってしまいます。

 

【対策】販路開拓や新事業へのチャレンジを忘れない

対策としては「今の時代に合わせたビジネス」にチューンアップをしていくことです。

 

今までと同じことをやり続けるのではなく、自社の良いところは残して古くなった部分や弱くなった部分を改良していくのです。そうすれば自社らしさは守りつつ新しく強く変わっていけます。いわゆる事業の再構築にチャレンジすることです。

 

分かりやすい例でいえば、老舗のカメラメーカーである富士フイルムは日本での写真フィルムではトップシェアをもちます。しかしデジタルカメラの台頭でフィルムが売れなくなり、2006年から化粧品産業に本格参入しました。

 

写真フィルムで培った精密化学のテクノロジーや研究力を活かして、アンチエイジングの肌ケアに効果の高い化粧品やサプリメントを生み出しています。今は化粧品コーナーに行くと有名ブランドと並んで富士フイルムの化粧品が置いてあり、業界で一定の地位を確立していることが分かります。

 

こんなふうに本業の経営資源(ヒト・モノ・カネ)を活かして自社が勝負できる分野を開拓していくというのが会社が成長し続けるための秘訣です。

 

経営資源が限られる中小企業や小規模事業者では大手企業のように大々的なチャレンジはできにくいかもしれませんが、自社でできるレベルで新しい挑戦や改革をしていくことは可能なはずです。

 

ピカピカの技術がなくても、多額の投資をしなくても、それぞれの会社の強みを活かしたチャレンジは必ずあるのです。それを見つけて実行していくことで銀行の見方や評価が変わってきます。

 

 

川居 宗則

中小企業診断士

1級ファイナンシャル・プランニング技能士

 

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※本連載は、川居宗則氏の著書『元メガバンク支店長だから知っている 銀行融資の引き出し方』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

元メガバンク支店長だから知っている銀行融資の引き出し方

元メガバンク支店長だから知っている銀行融資の引き出し方

川居 宗則

幻冬舎メディアコンサルティング

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