(写真はイメージです/PIXTA)

一般的に、相続税では税務調査の確率が非常に高いといわれています。調査による指摘により、誤りや漏れが見つかった場合には非常に大きなペナルティが課されます。税務調査への対応は心理的な負担も大きく、準備や対応などに時間もかかることから、できれば避けたいと考えるのが通常でしょう。税務調査に狙われやすいパターンなどはあるのでしょうか? 相続税における税務調査の実態について、相続に詳しいAuthense法律事務所の堅田勇気弁護士が解説します。

相続税の税務調査が特に入りやすいケース

(※画像はイメージです/PIXTA)
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

「こういったケースであれば絶対に税務調査に入られない」などとは言い切れるものではありません。 調査の基準などが国税庁などから明確に公表されているわけではないためです。とはいえ、税務調査をする人員や時間には限りがあります。

 

そのため、税務署として申告漏れの可能性が高いと考えるケースや、申告漏れが発覚した際に追徴が大きくなりそうな案件から優先的に調査に出向くと考えるのが自然でしょう。こうした点からいえば、次のようなケースで比較的調査に入られやすいと考えられます。

 

1.申告書に「不備」がある場合

申告書に不備がある場合には、調査に入られやすいと考えられます。その不備が形式的なものであれ実質的なものであれ、不備のある申告書を提出するということは、他にも何か重大な漏れがあるのではないかと思われやすいためです。

 

2.いわゆる「富裕層」である場合

いわゆる富裕層の申告案件には、優先的に調査に入る可能性が高いでしょう。財産のボリュームが多ければ財産が点在しているケースも多く、確認しきれなかった財産がある可能性が高いと考えられるためです。また、申告漏れが発覚した場合の追徴が多額となる傾向にある点も、理由の1つです。

 

3.相続税がかかるにもかかわらず「申告しなかった」場合

相続税は、「小規模宅地等の特例」などの特例を使う前の遺産総額が基礎控除額を下回る場合には、申告自体が不要です。

 

相続税の基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数

 

しかし、なかにはこれを上回る遺産があるにもかかわらず申告をしないケースがあります。それは、意図的な場合もあれば、単に相続税についての誤解や失念による場合もあります。

 

税務署は、被相続人の生前の収入状況や家族構成などから、相続税がかかるかどうかについておおまかな予想をつけているといわれています。その予想では、相続税の課税対象になるにもかかわらず申告書が期限までに提出されない場合は、確認のために税務調査に来る可能性が高まります。

 

なお、いきなり調査の連絡が来るのではなく、まず遺産についての回答を求める「お尋ね」が届く場合もあります。お尋ねが届いたら、正しく回答して期限内に返送するようにしましょう。実際に相続税の課税対象にならないのであれば問題ありませんが、不安な場合にはお尋ねの返送前に専門家に相談することをおすすめします。

 

4.「海外資産」を多く保有している場合

海外資産は、もちろん実際に使用するために所有している場合が多いでしょう。 しかし、なかには明らかな脱税や、脱税まがいの節税のために保有しているケースもあります。

 

そのためか、税務署は海外資産には目を光らせており、国税庁が公表している「相続税の調査等の状況」のなかでも、わざわざ「海外資産関連事案に係る財産別非違件数」を公表しているほどです。こうしたことから、海外資産を多く保有している場合には、優先的に税務調査が入る可能性が高いと考えられます。

 

5.「税理士」に依頼をしていない場合

相続税の申告を自分で行うことが禁止されているわけではありません。 実際に、財産の内容が簡易であるような場合には、自分での申告が不可能でない場合もあるでしょう。しかし、相続税の申告はかなり難易度が高く、財産の評価方法1つを取っても非常に多くの論点が存在します。また、財産を漏れなく申告することも容易ではありません。

 

そのため、税務のプロではない人が作成した申告書には、意図せずともなんらかの漏れや誤りが生じてしまうものです。こうしたことから、税理士に依頼をせず自分で申告をした場合には、税務調査に入る可能性が高いと考えられます。

 

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