(※写真はイメージです/PIXTA)

かつての日本人は「本当の知性」を持っていましたが、時の経過とともに磨きがかかるどころか失ってしまいました。この原因は学校の「詰め込み教育」があると、脳科学者として活躍する茂木健一郎氏はいいます。みていきましょう。※本連載は、茂木健一郎氏の著書『「本当の頭のよさ」を磨く脳の使い方 いま必要な、4つの力を手に入れる思考実験「モギシケン」』(日本実業出版)から一部を抜粋し、幻冬舎ゴールドオンライン編集部が本文を一部改変しております。

日本の「詰め込み教育」が“本当の知性”を摘んでいる

この情緒に流されずに正しく判断する力こそがいまの時代も必要なのであり、本来、教育とはそういった部分を伸ばしていくべきだと僕は考えています。

 

そのためには、たとえば外国の学校現場で取り入れられているようなディベートを重視し、プロジェクトの企画から完成までを行なうプロジェクト型の教育が必要でしょうし、アートや一般教養についての深い学びも必要でしょう。それらは本来、テストで判定できるようなものではないはずです。

 

しかし、日本の教育はいまだに暗記型、詰め込み型で、テストで成績を判定します。テストで判定できる知識で、社会に出てから役立つものがどれほどあるでしょうか。たとえば、いかに創意工夫してプロジェクトを立ち上げやり遂げるかは、趣味の世界でも、ビジネスの世界でも求められる普遍的な能力ですが、テストのしようがありません。

 

英語における「用語のセンス」もテストできないでしょうね。もちろん、単純に英文を訳せるかどうかはテストできます。しかし、「これはペンです」を英語にできるかどうかはテストできても、そんなものは実際に外国人と話すときには役立たないでしょう。

 

「あ、それはペンですよ」と、相手に教えるシチュエーションより、「心がざわっとして、ちょっと悲しくなって、でもそう言ってもらったことが嬉しかった」という複雑で曖昧な心の機微を伝えるシチュエーションのほうが、人生では絶対に多い。こうした用語のセンスを日本の英語教育で身につけられるとは、到底思えません。

 

いまの日本の教育を受けた人の多くは暗記型、詰め込み型の勉強は得意でも、ディベートや質問は苦手です。しかし、世界の多くの国では暗記や詰め込みではなく、発想、交渉といった教育に力を入れている。これは実は由々しき事態です。

 

 

茂木 健一郎

理学博士/脳科学者

 

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※本連載は、茂木健一郎氏の書籍『「本当の頭のよさ」を磨く脳の使い方 いま必要な、4つの力を手に入れる思考実験「モギシケン」』(日本実業出版社)より一部を抜粋・再編集したものです。

「本当の頭のよさ」を磨く脳の使い方 いま必要な、4つの力を手に入れる思考実験「モギシケン」

「本当の頭のよさ」を磨く脳の使い方 いま必要な、4つの力を手に入れる思考実験「モギシケン」

茂木 健一郎

日本実業出版社

いまの時代、ただ勉強ができるだけではダメで、どんな場所でも生き抜ける「本当の頭のよさ」が必要。それは誰もが思うことではないでしょうか? 脳科学者である著者は「情緒に流されない力」「地図を読み換える力」「アニマ…

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