(写真はイメージです/PIXTA)

環境的要因と遺伝的要因から最適な治療を導き、医療の質を向上させる新たな概念である「ペイシェント・ベイスド・メディスン(PBM)」は、従来の標準化された治療方針では見落とされてしまう、遺伝情報や患者個々の出身地や生活歴などの背景を考慮した治療を行うものです。年間10万人を超す外来患者が殺到する眼科医の宮田和典氏が、次世代医療の要と成り得る「ペイシェント・ベイスド・メディスン(PBM)」について詳しく解説します。

ぶどう膜炎の原因として全国的には全く名前の挙がらない疾患が、宮崎ではトップに

すると、驚くべきことが分かりました。ぶどう膜炎を引き起こす原因疾患のトップは、全国調査ではランキングにまったく名前の挙がっていない「HTLV‒1ぶどう膜炎」だったのです。

 

全国調査ではランキングのどこにも挙がっていない「HTLV‒1ぶどう膜炎」という病気が、全体の17.7%もの割合を占めていたのです。また、3位にはさらに「トキソプラズマ症」という、これも全国調査では上位に名前の出てこない原因疾患が挙がっていました

[図表2]。

 

[図表2]ぶどう膜炎の原因疾患

宮崎以外でも関東・関西で増加傾向にあるウイルス

世界では3,000万人以上の感染者がいると言われていて、日本でも約100万人の感染者がいると推定されています。感染者数でみれば、B型肝炎やC型肝炎に匹敵する人数であり、決して少なくない人数の感染者数がいるわけです。

 

HTLV‒1は、感染力が極めて弱いウイルスのため、日常生活では感染しません。主な感染経路は、HTLV‒1に感染したお母さんの母乳を飲んで赤ちゃんが感染する母子感染や性交渉による感染、輸血による感染などです。

 

なお、1986年以降は、輸血する血液がHTLV‒1に感染しているかを調べるようになったため、現在では輸血による感染はなくなっています。

 

このウイルスに感染しても、約95%の人は生涯病気にはなりません。しかし、ごく一部の人は成人T細胞白血病やHTLV‒1関連脊髄症、HTLV‒1ぶどう膜炎などを発症することがあると知られています。

 

また、このウイルスは、特定の地域に多い傾向があることが知られています。世界各地でHTLV‒1の感染が多い地域が報告されています。日本においては、近年は関東や関西などの大都市圏で増加傾向にあることも判明しています。

次ページ原因が違えば、治療法も異なる

※ 本連載は、宮田和典氏の著書『診断治療の質を上げる ペイシェント・ベイスド・メディスン』(幻冬舎メディアコンサルティング)から一部を抜粋し、再構成したものです。

診断治療の質を上げる ペイシェント・ベイスド・メディスン

診断治療の質を上げる ペイシェント・ベイスド・メディスン

宮田 和典

幻冬舎メディアコンサルティング

患者の出身地や食生活によって、かかりやすい病気、重症度が変わる――。 環境的要因と遺伝的要因から最適な治療を導く。医療の質を向上させる新たな概念「PBM」とは? 1990年代にカナダで提唱された「エビデンス・ベイスド…

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