会議を円滑に進める技法「ファシリテーション」…その魅力とデジタル化の課題

会議を円滑に進める技法「ファシリテーション」…その魅力とデジタル化の課題
(写真はイメージです/PIXTA)

人々の活動が容易にできるよう会議などの話し合いを支援し、うまくことが運ぶよう舵取りすることを「ファシリテーション」といいます。特定非営利活動法人日本ファシリテーション協会(以下FAJ)においてもオンラインでのミーティングが活用されており、距離の制約を越える手法として欠かせないものとなっています。今回は、津田壮彦氏(FAJ副会長)、小堀誠也氏(FAJ理事)、関戸紹恭氏(FAJ会員)に、大西麻由子氏(HOUSEI株式会社)が聞き手となり、その魅力や今後の課題についてインタビューを行いました。みていきましょう。

ファシリテーションにおける「デジタル化の課題」

Q.コロナ禍であらゆるもののオンライン化が進んでいますが、ファシリテーションにおけるデジタル化の課題はありますか?

 

小堀「ひとつは、ワークショップをオンラインでするときに、熱量の交換ができないところですね。ただ、オンライン、オフライン2つの方法にわかれたことで引き出しが増えたと感じる部分もあるので必ずしもどちらがよい悪いということではないとは思います。

 

もう1つは、デジタル化に対応できる人とそうでない人がいて、ファシリテーターの力量では救えない一定数の人が出ているところが課題ですね」

 

関戸「対面が正しいという思い込みで、いかにそこに近づけるかという思考が残っていることが課題かなと思います。オンラインにはオンラインのやり方もあると思います。

 

また、デジタル化には細かなスキルがいろいろ必要なのですが、そのスキルが意外と評価されていないという情報格差、知識格差も問題ですね。

 

あと、時間の感覚が変わっていますね。オンタイムで話す以外に、テキストツールでのリアルタイムでないやり取りが増えていて、タイムラグによって熱量が変わるんですよね。そこの合意形成でぶれないように配慮しなければなりません」

 

津田「コロナによってオンラインでの代替が一気に進んだのですが、これによって1つの選択肢として確立してきたと思います。グループでタスクをこなす場合などは、むしろオンラインの方がやりやすいこともある一方、対面のほうが、いい話し合いで感じるグルーブのようなものは得やすいかなと感じています」

※ グルーブ:調子やリズムにうまく合うこと

 

オンライン会議が一般的になって数年が経ち、ツールもこなれてきたかとは思いますが、ファシリテーションに関していえば新たな技法があるというよりも良し悪し、特にうまくいっていないところが顕著に現れてしまうという傾向があると思っています。より参加者1人ひとりに向き合い、基本に忠実なファシリテーションが必要だと改めて感じます。

 

 

聞き手・記事作成:大西 麻由子

HOUSEI株式会社

プロダクト事業室

 

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