(画像はイメージです/PIXTA)

香港在住・国際金融ストラテジストの長谷川建一氏(Wells Global Asset Management Limited, CEO)が「香港・中国市場の今」を解説していきます。

米中首脳会談も肯定的な反応

15日の香港市場はハンセン指数が3日続伸、サポートラインとなる18,000ポイントを回復した。

 

前日、バイデン大統領と習近平国家主席がインドネシアで行われた首脳会談で、世界の2大経済大国である両国間の緊張緩和が必要だとの認識で一致したことで、関係改善の期待が高まった。

 

ハンセン指数は10月末の安値から約25%近く上昇し、主要ITネット株や不動産株の買い戻しが顕著に目立った。このままいけば月間ベースで過去最大の上昇率となるペースであり、他市場と比較して大きくアウトパフォームすることになる。

 

ハイテク株で構成されるハンセンテック指数は前日比7.30%の大幅高。ソフトウエア開発の明源雲集団(0909)は15.7%高、動画配信のビリビリ(9626)は15.1%高、オンライン医療の阿里健康 (0241) は14.4%高だった。

 

主要銘柄も連日の買い戻しとなり、Eコマースのアリババ(9988)は11.0%高、インターネットサービスのテンセント(0700)は10.5%高、京東集団(9618)は8.3%高、インターネット検索の百度(9888)は9.4%高だった。

 

中国本土株市場は上海総合指数は前日比1.64%高の3,134.08、CSI300は1.90%高の3,865.97で引けた。発表された経済指標が総じて下振れたものの、中国政府による景気テコ入れへの期待が、かえって高まった。

人民銀行は人民元安を懸念か

中国人民銀行は11月15日、1年物中期貸出制度(MLF)を通じて同日に満期を迎える1兆元の市中銀行向け貸付のうち8,500億元をロールオーバーした。

 

差し引き1,500億元は吸収となるところだが、人民銀は期間7日でリバースレポ(金利は2.00%)を実施して1,720億元を供給しネットでは資金吸収はしなかった。金利は2.75%に据え置いた。これで3ヶ月連続で金利は据え置かれたことになる。

 

人民銀行は、為替市場の安定が念頭にあるようで、MLF金利を引き下げることにより、金融緩和が米中金利差の拡大観測を呼び、元安圧力となることに配慮したものと考えられる。


人民銀は15日の市場操作について、納税による現金需要の増加に対処したもので、短期金融市場の流動性を妥当で潤沢な水準に維持することが目的と説明した。

 

流動性については、11月初めから担保付き補完貸出(PSL)と再融資制度を通じて3,200億元の中長期流動性を提供してきており、MLFの満期額を上回った資金を供給していることを強調した。
 

 

長谷川 建一

Wells Global Asset Management Limited, CEO/国際金融ストラテジスト<在香港>

 

 

 

 

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