(※写真はイメージです/PIXTA)

この冬はコロナ禍にあって初めて、インフルエンザの流行の兆しがあると専門家が懸念を示しています。また、1人目のお子さんが3歳以下の場合には、そもそも子どもがインフルエンザに罹った経験がないのではないでしょうか。この冬の流行に向けて、今一度インフルエンザとはなにかをおさらいしておきましょう。京都きづ川病院/きづ川クリニックの小児科医、米田真紀子先生が解説します。

実は…インフルはハイリスクでなければ薬不要

インフルエンザの治療薬は、みなさんよくご存じのタミフルを筆頭とする、ノイラミニダーゼ阻害薬といわれる種類のお薬です。

 

ノイラミニダーゼは前述したように、インフルエンザウイルスの表面に存在する抗原のひとつで、ウイルスがヒトの細胞内で増殖して、細胞外に出ていくことに関わっている物質です。

 

これをブロックすることによって、インフルエンザウイルスは細胞内で増えても体中に広がっていくことができなくなります。ただし、ウイルスが十分に体中に増えてしまってからはあまり効果がないので、発症後48時間以内の投与が適切とされています。

 

かつては、タミフルの投与により、特に10代の患者さんで熱せん妄のような異常行動が見られる可能性が指摘されていましたが、現在、関連性は否定され、処方制限も撤廃されています。

 

その他、リレンザ・イナビルなどの吸入薬、1回のみの投与で有効なゾフルーザなど多種類が適応になっていますが、大切なのは、これらのお薬を投与しても、効果はある程度限定的です。

 

たとえばタミフルも、散薬はとても苦く、吐き気の副作用もあり、子どもがしんどいときに飲ませにくいお薬ですが、せいぜい20時間くらい有熱期間が短くなるくらいの効果しかありません。他のお薬もだいたい似たようなものです。

 

「お薬投与後、すぐ熱が下がった!」という経験がある人は、恐らくお薬がなくても同様によくなっていたでしょう。発症後48時間というしばりがあるために焦ってしまいがちですが、基本的にはハイリスクの方ではなければお薬は不要で、自然に治る病気であることを再認識してほしいです。

 

もちろん、数時間でも熱が早く下がればいい、と思われる方もたくさんおられると思いますが、特に学童期は最低でも5日間は登校/登園停止になるし、それほどのメリットは感じられないかな、というのが個人の感想です。

 

それよりも、いざというときに焦らないでいいように、ワクチンの接種や解熱薬の準備など、いまからできることをしておきましょう。

 

 

米田 真紀子

京都きづ川病院/きづ川クリニック

小児科医

 

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※本記事は、オンライン診療対応クリニック/病院の検索サイト『イシャチョク』掲載の記事を転載したものです。