デジタルを活用することによって「コスト削減や利益率向上」が見込まれる企業のDX。しかしDXの真の目的はそこではないといいます。みていきましょう。

 

未来のありたいビジネス像を先取りする

企業単体だけでなく“サプライチェーン全体“で課題を捉える

DX(デジタル・トランスフォーメーション)の真の目的は、デジタルを活用することによるコスト削減や利益率向上ではなく、ビジネスモデルレベルでの変革を起こしてマーケットをリードしていくことにあると考えています。

 

そのためには、企業が単体で抱える課題のみに着目するのではなく、その商品や価値が生まれて消費されていく“サプライチェーン全体”で課題を捉える必要があります。そのサプライチェーンに登場するすべてのステークホルダーは、顧客でもあり、パートナーでもあり、あるいは、価値提供をするためのチャネルでもあると考えることで、新たなビジネスチャンスを探索することができ、継続的な経営が可能になります。

 

つまり、DXを実現してマーケットをリードするためには、関係企業と手を取り合い、その未来をともに創っていくという“共創”が不可欠になるのです。

 

[図表]サプライチェーン全体像

 

企業同士による「共創」がフラットな関係性を生み「推進力」を生む

一般的に、とりわけBtoBの企業同士のやり取りにおいては、商品を販売する側とされる側が存在するため、そこには「営業行為」や「提供物」が存在します。そのため、相手の出方を伺ってブレーキをする、あるいは価値もろくに理解させないままに商品を猛プッシュするといったコミュニケーションが生じます。

 

これらはビジネスの世界では当たり前に取られる手段であり、通常はなんら否定されるようなことではありません。ただし、企業同士が“未来をともに創っていく”という場合においては、企業間で対等な関係が生まれない要因となり、排除する必要が生じます。

 

一方で共創は、その名のとおり共に創ることを意味し、販売や提供という概念が存在しません。あるのは「一緒に築き上げたいなんとなくの未来」と、その実現のためのモチベーションの源泉である「共感」のみです。当然のことながら、その未来を実現するデジタル技術やツールも基本的には存在しません。

 

このように、一見できることがなにもない状態こそが、お互いの目的や目標をシンプルにし、上下関係のないフラットな関係性を生みます。さらには、互いの未来を実現するというWin-Winの関係になるため、現場の担当者の熱意をくすぐり、推進力を生みます。

 

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