「期待どおり売れない…」をなくす新時代のテストマーケとは?【DX成功事例】

「期待どおり売れない…」をなくす新時代のテストマーケとは?【DX成功事例】

トピックとしては広く浸透したDX。実際の取り組みに対し、評価するタイミングに差し掛かっています。DXによって収益化できている企業とそうでない企業は何が違うのか、そもそも変革できたのか、どこで差がついたのか……今回は「モニター調査は高評価も、期待どおり売れない」という、テストマーケティングと実際の需要の齟齬をなくす仕組みづくりに成功したDX戦略の事例をみていきます。

新たな「場を創造」するビジネスの価値

DXによる「場の創造」とは?

DXは、「モノやサービスを取引する新たな“場の創造”」を可能とします。デジタル化によって不特定多数との自由なやり取りが可能になるからです。そのコンセプトは、「今までにはなかった場の創造」と「リアルな場のバーチャルへの転換」の2つに大別されます。

 

■今までになかった場を創るビジネス

デジタル技術の進化は、今まで取引されることのなかったモノやサービスの提供/共有を実現しました。結果として、単に取引が拡大するだけではなく、かつては知り得なかったこと、買えなかったモノやサービスを入手できるようになりました。そこで新たに創造された場が社会や経済に革新をもたらすものだとすれば、唯一無二の存在として広く多くの活用を得られるはずです。

 

図表の左の列(オレンジ部分)は企業名
[図表1]今までになかった場を創るビジネス例 図表の左の列(オレンジ部分)は事業名

 

■リアルな場をバーチャルに変えるビジネス

リアルがバーチャルに変わることの基本的な価値は、いかなる場所でもモノやサービスを利用できるようになることです。それに加えて、これまでにはなかったDXならではの価値を付与できれば、リアルな場を超えた存在になることも可能でしょう。

 

図表の左の列(オレンジ部分)は企業名
[図表2]リアルな場をバーチャルに変えるビジネス例 図表の左の列(オレンジ部分)は事業名

 

「チェーン=鎖」から「ウェブ=クモの巣」への進化

企業間の取引は総じて固定的であるがゆえに、調達先/納品先との連携のもと、生産から販売までの「サプライチェーン」全体を最適化することができました。この産業構造が大きく変わろうとしています。ソニーが自動車を開発し、トヨタがスマートシティを構想するなど、業界の垣根を越えた再編と競争が世界的に拡大しています。既存の関係にとらわれていては、このダイナミックな変化に取り残されてしまうでしょう。

 

それゆえに、あらゆる調達先/納品先との自由な取引を可能とする「サプライウェブ」への進化は不可避と見るべきです。その実現には、不特定多数との取引を支えるプラットフォーマーの出現と普及が欠かせません。場を創造したり、非効率を解消したりすることで、誰とでもさまざまなモノやサービスを取引できるようにするDXは、「チェーンからウェブへの革新」という産業構造の転換をもリードすることが期待されます。

 

次ページDXで真の需要を見極める仕組みづくりに成功した事例

本記事は、小野塚征志氏が監修した『DXビジネスモデル 80事例に学ぶ利益を生み出す攻めの戦略』(インプレス)から一部を抜粋し、再編集したものです。

DXビジネスモデル 80事例に学ぶ利益を生み出す攻めの戦略

DXビジネスモデル 80事例に学ぶ利益を生み出す攻めの戦略

小野塚 征志

インプレス

最先端のDX事例を完全図解! &ビジネスに落とし込むためのヒントが満載! 「DX」はトピックとしては広く浸透しました。そのため、どんな事例があるか、どう取り組むか、どう経営に取り入れるかといった情報は語りつくされたと…

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