【2022年の物流施設の利用動向】なぜテナント企業の「床面積拡張意欲」が高まったのか?

CBREレポート「物流施設利用に関するテナント調査 2022『強まる拡張と先進化ニーズ』」(2022年6月)より

【2022年の物流施設の利用動向】なぜテナント企業の「床面積拡張意欲」が高まったのか?
(※写真はイメージです/PIXTA)

ダラスを本拠とする世界最大の事業用不動産サービス会社、シービーアールイー株式会社(CBRE)。2022年に物流テナント企業は床面積の拡張を重視しました。なぜなのでしょうか? 同社リサーチ部門シニアディレクター高橋加寿子氏とディレクター羽仁千夏氏が解説します。

テナント企業の「拡張意欲」

■「床面積の拡張ニーズ」が強い

今後3年間の拠点戦略の具体策について聞いたところ(図表1)、「倉庫の総面積は拡大する」と回答したテナント企業が全体の75%を占めた。特筆すべきは「10%以上拡大」と答えた企業の割合が全体の41%と、昨年の31%から増加したことだろう。

 

[図表1]今後3年間の拡張計画

 

「拠点数」および「拠点当たりの面積」について「10%以上拡大」と回答した企業の割合も昨年比で相応に増えており、全体としてテナント企業の拡張姿勢がさらに高まっていることがうかがえる。

 

■引き続き高い、物流施設の「省人化・効率化」に対する関心

一方で、件数は少ないものの、今後3年間で「拠点数は減少する」と回答した企業もあったが、より詳しい内容をみてみると、その多くが「倉庫の総面積は拡大する」と回答している。全般的な傾向として、労働力不足やコスト増を背景に、企業は物流施設の省人化や物流網の効率化を進めようとしている。そのため、テナント企業の中期的な物流戦略は拠点数よりも総面積の拡大に重点を置いていると考えられる。

 

物流企業と荷主企業を比較すると、面積についても拠点数についても「拡大する」と回答した比率は物流企業のほうが高い(図表2)。倉庫の総面積を「拡大」するという回答は、物流企業のほうでは82%だったのに対して、荷主企業のほうでは63%にとどまっている。後述の通り、物流企業の多くは、EC市場のさらなる拡大が見込まれることに加え、効率的な物流施設運営のための自動化を推進しており、より広い面積を必要していることがその背景にあると考えられる。

 

[図表2]今後3年間の拡張計画(物流企業・荷主企業の内訳)

 

ただし、昨年に比べて拡張意欲の高まりが顕著だったのはむしろ荷主企業のほうである。今年の調査で「倉庫の総面積は拡大する」とした荷主企業のうち、「10%以上拡大」と回答した企業は31%で、昨年の実績(17%)から14ポイント上昇した。一方で「減少」と回答した企業は3%と、昨年の12%から大幅に減った。荷主企業の物流拠点拡大の意欲はここ最近において高まっているといえそうだ。

 

注目のセミナー情報

【資産運用】5月8日(水)開催
米国株式投資に新たな選択肢
知られざる有望企業の発掘機会が多数存在
「USマイクロキャップ株式ファンド」の魅力

 

【国内不動産】5月16日(木)開催
東京23区×新築×RC造のデザイナーズマンションで
〈5.5%超の利回り・1億円超の売却益〉を実現
物件開発のプロが伝授する「土地選び」の極意

次ページテナント企業の「拡張ニーズの背景」

※本記事はシービーアールイー株式会社(CBRE)のジャパン特別レポート「物流施設利用に関するテナント調査 2022」より一部抜粋・再編集したものです。
※本文書は貴社の責任と判断で利用いただくものであり、弊社は、貴社又は第三者が本文書に基づいて行われた検討、判断、意思決定及びその結果について法律構成・請求原因の如何を問わず一切の責任を負わないものとします。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧