(写真はイメージです/PIXTA)

立ち退きを要求しても、賃借人に拒否されることがあります。その場合にはどのように対応すればよいでしょうか? 立ち退き拒否が認められた事例とともに、立ち退き料の請求方法を不動産法務に詳しい森田弁護士がわかりやすく解説します。

立ち退き拒否が認められた事例

大家側が立ち退き請求をしたものの、結果的に立ち退き請求が認められなかった事例としては、次のものがあります。ただし、これはあくまでもさまざまな事情が斟酌されたうえでの事例です。個別事情に応じて結論が異なる可能性があるため、似たケースだからといって必ずしも同様の結論になるとは限りません。立ち退き拒否でお困りの際には、弁護士へ相談しましょう。

 

■事例1

築後57年を経過した木造平屋建て戸建住宅について、賃貸人が賃貸借契約の終了と建物の明け渡しを求めた事例です。この事例では、賃借人には自己使用の必要性があり、かつ老朽化による建て替えの必要性も認め難いとして、正当事由が認められませんでした(令和元年12月12日東京地裁)。築後57年ということで、一般的にはかなり老朽化が進んでいるように思えます。

 

しかし、この程度の年数が経過していても立ち退き請求が認められなかったということで、立ち退き請求に求められる正当事由のハードルの高さが伺える事例です。

 

■事例2

仕事で来日した際に自己が使用するための住宅として、賃借人のいる住宅を個人が購入しました。そのうえで、賃貸借契約満了による終了にもとづいて、賃借人に対して建物の明け渡しと明け渡しまでの使用損害金支払を求めた事例です。

 

しかし、明け渡しの正当事由は認められないとして、請求が棄却されています(令和元年7月5日東京地裁)。建物賃貸借契約の更新期にあたり、かつ購入者が自分で使いたい事情があったとしても、立ち退き請求が認められなかった事例です。

 

■事例3

建物が朽廃し、倒壊する危険性が高いという正当の事由があるとして、賃貸人が賃借人に対して賃貸借契約の解約を求めた事例です。一方、賃借人は賃貸人に対し、建物が倒壊する危険から免れるための通常の補修工事の実施を求めました。

 

これに対し、東京地裁は賃貸借契約の解約の申入れの正当事由を否定して、賃貸人に補修工事の実施を命じています(平成22年3月17日東京地裁)。建物が老朽化して倒壊の危険があるからといって必ずしも立ち退き請求が認められるわけではなく、補修工事をすれば引き続き建物が使用できるものとして、正当事由が否定された事例です。

 

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