(※写真はイメージです/PIXTA)

歯の疾患は「口の中だけの問題」ではありません。たとえば歯周病は糖尿病、誤嚥性肺炎、心疾患など全身疾患に悪影響を及ぼすことが分かっています。このことから金子泰英氏(医療法人KANEKO DENTAL OFFICE 理事長・院長)は、医科と歯科が連携して患者の健康を考える体制を望んできました。しかし一方では、長年、医科歯科連携の難しさを感じてきたといいます。

もし義父が抜歯できずにいたら…

■終末期の患者は「おいしいものを食べたい」と願う方が多い

もし、義父が医師の返事をずっと待っていて、抜歯ができなかったらどうなっていたか。食べ物を十分に噛めないまま入院し、食べたいものを食べられずに亡くなっていったかもしれません。

 

前項でもお伝えしたように、抗がん剤は歯に重大なリスクを及ぼします。悪い歯を残したことによって、抗がん剤で歯周病が悪化したり、骨が腐ってしまうと、きちんと食べられなくなって生活の質は大きく下がってしまいます。終末期の患者は、「おいしいものを食べたい」と願う方が多いので、医師にはできるだけ口の中を良い状態に保てるよう、がん治療を行ってもらいたいと考えています。

 

義父の場合は、私が口腔ケアを行ったので、「最後まで家族一緒に食事ができてよかった。泰英くんのおかげだよ」と言ってくれました。こう言ってもらえて本当にうれしかったですし、それが誰にとっても当たり前になってほしいと考えています。

 

しかし、医科歯科連携がまだできてない日本では、がんになった際、口腔ケアを受ける機会があるとは限りません。もしがんを宣告されて、手術や抗がん剤治療までに少しでも時間があるのであれば、治療の前に口腔ケアをすることをおすすめします。

 

出典:静岡県立静岡がんセンター「がん治療中のお口のトラブルケア」
[図表2]がん治療中のいろいろな口腔内トラブル 出典:静岡県立静岡がんセンター「がん治療中のお口のトラブルケア」

 

 

金子 泰英

医療法人KANEKO DENTAL OFFICE 理事長・院長

 

 

予防弱者 知らぬ間に不健康に陥る日本人

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金子 泰英

幻冬舎メディアコンサルティング

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