(※写真はイメージです/PIXTA)

認知症になると元には戻りませんが、「認知症になりかけ」の状態ならまだ間に合います。しかるべき認知症予防を行い、積極的に脳を使うことによって、認知症に至らずに済ませることも可能なのです。認知症研究の第一人者・浦上克哉氏が監修した『すぐに忘れてしまう自分が怖くなったら読む本』(徳間書店)より、「認知症になりかけの状態」について見ていきましょう。

早期対処のために「MCIの人にみられる行動」を知ろう

現在の65歳以上の7人中2人は、MCI(軽度認知障害)か認知症であるという報告がなされています。また、「認知症予備軍」といえるMCIの状態で何もせずにいると、4~5年後にはその半数以上の人が認知症になってしまうというデータも示されています。

 

出典:厚生労働省 認知症対策総合研究事業「都市部における認知症有病率と認知症の生活機能障害への対応」
[図表2] 出典:厚生労働省 認知症対策総合研究事業「都市部における認知症有病率と認知症の生活機能障害への対応」

 

それを避けるためにも、自分がMCIであることを早めに発見し、予防策を早期に講じることが大切です。もっと言えば、MCIであることに早く気づくために、認知症のことを正しく理解することが重要なのです。

 

そのために大切なのは、日々の生活のなかでの「従来との違い」や「何度も感じる違和感」といった変化にいち早く気づき、「ひょっとしたら…」と疑ってみることです。日々の変化に敏感になることで、早期の対策が可能になるのです。

 

たとえばMCIの人に現れそうな行動や状態は、下記のようなものがあげられます。日頃の掃除や洗濯、買い物や料理などの行動のなかで、「最近、不安が募るようになった…」という方は、どのくらい当てはまるかチェックしてみると良いでしょう。

 

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<日常生活で「以前と比べて違うこと」が増えていませんか?>

 

【掃除や洗濯】

□ 掃除や洗濯の回数が減った

□ 途中でほかのことを始めてしまい、なかなか終わらない

□ 家のあちこちに脱ぎっぱなしの衣服が点在している

□ ゴミの出し忘れや曜日を間違えることが増えた

□ 洗濯をしたあと、干すのを忘れてしまうようになった

 

【スーパーでの買い物】

□ 買い物リストを置き忘れて出かけてしまう

□ 家にまだあるのに、同じものを買ってしまう

□ 手持ちのお金では足りない買い物をしてしまう

□ 小銭を出すのが面倒で、お札を出すことが多くなった

□ 帰りに立ち寄った先に、買ったものを置き忘れてしまう

 

【料理】

□ 鍋やフライパンを焦がしてしまう

□ 同じ献立やメニューが続くようになった

□ 味付けが濃くなったり薄くなるなどムラが生じる

□ 作ろうとしたメニューができないまま食材が余る

□ 調理に要する時間がかなり長くなった

 

出所:浦上克哉監修『すぐに忘れてしまう自分が怖くなったら読む本』(徳間書店)

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MCIの段階だと、生活にほとんど助けがいらないため見過ごしてしまいがちですが、認知症へと進んでいく前の、予防効果が大きな段階であることをぜひ知ってください。以前とは様子が変わってきたと本人やご家族が気づいたら、一度専門医を受診することをおすすめします。

 

 

浦上 克哉

日本認知症予防学会 代表理事

鳥取大学医学部 教授

※本連載は、浦上克哉氏監修の『すぐに忘れてしまう自分が怖くなったら読む本 認知症を予防・克服する新習慣!』(徳間書店)より一部を抜粋し、再編集したものです。

すぐに忘れてしまう自分が怖くなったら読む本 認知症を予防・克服する新習慣!

すぐに忘れてしまう自分が怖くなったら読む本 認知症を予防・克服する新習慣!

浦上 克哉 監修

徳間書店

【認知症研究 第一人者、浦上克哉氏の最新メソッド!】 「ひょっとして認知症?」…あなたや家族が不安になったら読む本。 早期発見チェックリストで今の状態とやるべきことがよくわかる! 自分自身や家族の認知症が…

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