(画像はイメージです/PIXTA)

予期せぬ別れに直面したとき、人は何を思い、どう乗り越えるのか。書籍『もう会えないとわかっていたなら』(扶桑社)では、遺品整理会社、行政書士、相続診断士、税理士など、現場の第一線で活躍する専門家たちから、実際に大切な家族を失った人の印象深いエピソードを集め、「円満な相続」を迎えるために何ができるのかについて紹介されています。本連載では、その中から特に印象的な話を一部抜粋してご紹介します。

「鶴川さんをなんとかしてあげたい」

僕は、相続を担当した税理士であることや、その後の鶴川さんが心配で顔を出していることなどを話しました。

 

「私たちも鶴川さんをなんとかしてあげたいと思ってさ」

 

そのお客さんは、近所で飲食店を営んでいる人でした。

 

その人の話では、鶴川さんのことを近隣住民みんなが心配していて、毎日、誰かしらが顔を出すようにしているというのです。この日は、近隣の飲食店に統一感を出すために同じ花を飾るには、どんな花がいいのかを相談しに来たのです。

 

「あとは、ここの駐車場を保育園のお迎えバスのバス停にする計画もあるのよ」

 

鶴川さんのお店には横に少し広めの駐車場があります。そこを保育園の送迎バスのバス停にすることで、鶴川さんに関わる人を増やそうと考えているというのです。

 

「小さな子どもがお店に顔を出すようになれば、張り合いもできるでしょ?」

 

近くに暮らす人たちが、みんなで鶴川さんを支えようとしていることに、僕はとても感動しました。僕のような新参者が出る幕はなかったのかもしれません。その駐車場は、「毎朝、仕入れた花の搬入に便利だろう」と、二年前、息子さんが鶴川さんのために買った場所でした。

 

息子さんは、鶴川さんに地域との繋がりとなる場所を残してくれていたのです。

 

その後、鶴川さんのお店の駐車場は、無事に保育園のバス停となりました。朝夕、多くの子どもたちが集まり、鶴川さんのお店にも「お花見せて」と言って、子どもたちが顔を出しているそうです。

 

バス停が出来てから、鶴川さんのお店には変わったことがありました。それは、店主の鶴川さんに笑顔が戻ったことと、花を入れる冷蔵ショーケースに子どもたちのための缶ジュースが冷やされるようになったことです。

 

小さな子どもたちの相手をする鶴川さんの姿を見て、息子さんも奥さんも、天国で笑っているかもしれません。

 

本連載は、2022年8月10日発売の書籍『もう会えないとわかっていたなら』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございます。あらかじめご了承ください。

もう会えないとわかっていたなら

もう会えないとわかっていたなら

家族の笑顔を支える会

扶桑社

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