(※写真はイメージです/PIXTA)

急増する中小企業のM&Aにともなって銀行などの金融機関が果たす役割が重要になってきます。金融機関は取引先である売り手のファイナンシャルアドバイザーとして相談に乗ることで、売り手に寄りそった事業承継を遂行する可能性は高いといえるでしょう。株式会社M&Aナビ社長の瀧田雄介氏が著書『中小企業向け 会社を守る事業承継』(アルク)で解説します。

金融機関はM&Aにどのように関与するのか

■金融機関×「M&Aプラットフォーム」の可能性

 

これまで、M&Aプラットフォームの概要について触れました。基本的にはウェブサイトにアクセスした売り手・買い手候補の方々が登録していますが、当社で積極的に取り組んでいるのは、銀行をはじめとする金融機関との協業です。

 

売り手に寄りそった形で事業承継を進めていくのは、これまでの取引で経営者と関係性があり、人柄はもちろん財務情報までも把握している金融機関の支援が必要不可欠と考えました。

 

実際、事業承継に取り組む金融機関は増えています。銀行は低金利などの影響を受けて手数料ビジネスが頭打ちになっていて、各地域で活躍する中小企業の事業承継をサポートすることで、新たな収益の柱を育てたいと考えているからです。

 

近年は国が積極的に取り組んでいる地方創生やSDGs(持続可能な開発目標)のなかの少子高齢化に関連する文脈で、事業承継に熱心な銀行も出てきました。バンカーの皆さんはファイナンス全般に精通していて、取引先の財務も熟知しています。経営者からしても、自社のことを理解している相手に相談したいはずです。

 

また、売り手が会社を売却する機会は人生で一度あるかないかですが、買い手は複数社買収する可能性があるので、M&A仲介会社は買い手に寄り添って交渉を進めがちです。

 

対して金融機関は取引先である売り手のFA(ファイナンシャルアドバイザー)として相談に乗るので、売り手に寄りそった事業承継を遂行する可能性は極めて高いといえるでしょう。こういったことからも、私は銀行こそ事業承継に悩む経営者のよきパートナーになると個人的に考えています。

 

■M&Aプラットフォームの無償提供で金融機関の課題を解消

 

ただし、事業承継に取り組む金融機関にも課題はあります。例えば、事業承継支援の収益事業化はその一つです。収益化が実現しないことには、銀行などとしても前向きに取り組むことができません。

 

また、資金力に限界のある中小企業に対して、低コストで事業承継を支援する仕組みがないと、銀行としては及び腰になるでしょう。いくら事業承継を通じた地域貢献をしたいといっても、事業自体が赤字になってしまうと、本末転倒だからです。

 

こういった課題に対して私が出した答えは、M&Aプラットフォームを金融機関にSaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)として無償提供することです。金融機関オリジナルのサービスとしてお使いいただきつつ、AIで企業評価やマッチングを支援する付帯サービスもあると便利と考えました。

 

これにより、金融機関はシステム開発などの投資コストがなくオンラインの事業承継(M&A)プラットフォームを持つことができ、先述したような売り手・買い手の当事者間で交渉が進行する仕組みを提供することで、小規模な取引先に対しても工数をかけずに事業承継の支援ができるようになります。

 

何よりも、顧客にサービスを提供することで自行の収益化にも貢献します。また、売り手を見つけてご登録いただくなど、所定の要件を満たすと売上を分配するなど、当社としても収益化に寄与する仕組みもあるといいでしょう。

 

「事業承継を解決したい取引先」「事業承継に取り組みたい金融機関」「M&Aで成長したい企業」を、新たなスキームで解決するのが大きな狙いです。

 

瀧田雄介
株式会社M&Aナビ 代表取締役社長

 

 

※本連載は、瀧田雄介氏の著書『中小企業向け 会社を守る事業承継』(アルク)より一部を抜粋・再編集したものです。

中小企業向け 会社を守る事業承継

中小企業向け 会社を守る事業承継

瀧田 雄介

アルク

後継者がいなくても大丈夫!大事に育ててきた会社を100年先へつなぐ、これからの時代の「事業承継」を明らかにします。 日本経済を支える全国の中小企業は約419万社。そして今、その経営者の高齢化が心配されています。2025年…

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