不動産を売却するなら、少しでも高く売りたいと思うもの。しかし、知識のない一般人が思い通りの結果を得るのは至難の技です。本記事では、実家の売却を考えている若い会社員の「ミツウラアサミ」と、不動産売買の秘密を教えてくれる、小さなおじさんの姿をした不思議な家の精霊「家の精」とのコミカルな会話を交えつつ、不動産業界のウラや売買のヒントをやさしく解説します。

今回で確実になった。信用ならんから解約しろ」

アサミ:もう、いきなりあんな声で怒鳴って。販売に力を入れてくれなくなったらどうするのよ。

 

家の精:願ったりだろ。信用ならんあそこは。今回で確実になった。解約しろ。

 

アサミ:そういえば3カ月でどうのこうのって。

 

家の精:専任媒介契約は3カ月ごとの更新が基本。ちょうどその節目が近いから、契約を更新するか一旦切るか、決めることができるってこと。解約のいいタイミングだ。

 

アサミ:そういえばオダテル不動産の人にも契約するときに説明された気がするな。でも、せっかくここまで関係を続けてきたし。解約したら業者さんの取り分ってゼロでしょ。販売頑張ってくれてたと思うから、申し訳ないよ。

 

家の精:甘いなあ。向こうは不義理を働いたんだから、やめたらいいんだよ。

 

アサミ:不義理って……本当にミスかもしれないし。そもそも安値で載せるメリットって不動産屋さんにないんじゃない?

 

家の精:もとからこの価格で売る気満々だったってことだよ。3000万円だと連絡がないけど、2500万円ならたくさん連絡があるから、このくらいが適正ですよって、アサミたちへの説得材料にでもするつもりだったんだろ。

 

アサミ:そんな身勝手な営業ってある?

 

家の精:あるある、ありまくりよ。とにかく今すぐオダテルへ行って、解約してきな。

仲介業者は、儲けのためなら手段を選ばない

ストーリーにあるような「不動産仲介業者に任せていた物件が、約束していた額よりも安値で売りに出されていた!」という嘘みたいな話は、実際に起こっています。

 

私もその目撃者になったことがあります。

 

ある大手不動産会社の掲載情報に、どう考えても格安な物件があったので、飛びつかんばかりの勢いで問い合わせし、担当者から資料を受け取ったあと、現地へ向かいました。

 

現地を視察していたところ、「何をしているの?」と声を掛けてくる女性がいました。

 

「この物件がすごく安い価格で、買おうと思っていて」と資料を見せたところ、「え、こんな価格で? そんなの聞いてない!」と、なぜか私に怒鳴り声を上げてきたのです。

 

詳しい事情を尋ねてみると、女性はこの物件の売主だったのです。契約先と取り交わしていた額よりも、大幅なディスカウントで広告を作られていたというのですから、怒り心頭となるのも無理はありません。私から経緯を聞いた直後、担当者へ即座にクレームをつけていた様子でした。

 

実際の売買にまでは至っていないものの、売主にとってはまさに詐欺行為にでも遭ったような気分でしょう。私も、いわゆるおとり広告をつかまされて、無駄な時間を過ごすことになってしまいました。

 

このあと、その物件や売主がどうなったかは知りません。契約は破棄となったかもしれませんが、おそらく不動産業者は「事務の人間が数字を間違えて打ってしまった」などと弁解して、うまくごまかしたのではないでしょうか。さらには「契約した価格ですとほとんど連絡がきませんが、これだけの安値だとかなりの問い合わせがありました。ここまでの値下げはしないまでも、少し値下げをしてみてはいかがでしょうか」といかにも真っ当そうな理屈を並べて、値下げ交渉を仕掛けたかもしれません。うまく売主が納得すれば、「ワンツースリー」コースへ直行です。

 

仮に百歩譲って、本当に数字の打ち間違いだったとしても、そんな初歩的で重大なミスを犯すところに、大事な不動産の売却を任せることなんてできません。今後も事あるごとにトラブルに見舞われる可能性も考えられるわけです。解約の方向で話を進めていくのがいいでしょう。

 

露木 裕良
一般社団法人「不動産売却支援ネット」 理事長
「不動産高く売りたい.com」 サイト運営

 

 

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ストーリーで分かる オークションで不動産を高く売る方法

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露木 裕良

幻冬舎メディアコンサルティング

早く確実に売り切りたい 物件情報を広範囲に発信したい 市場価格より高値で売却したい 売主の希望を最大限叶える不動産売却方法とは―― 物件を高く売りたい――不動産を所有している人であれば誰でも思うことです。 しか…

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