(※写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「市川レポート」を転載したものです。

 

●1月の日経平均は一時26,000円割れが目前に、月間では6.2%安と20年3月以来の下落率。

●日経平均26,000円付近は売られ過ぎ水準、足元PERは13倍台で欧米株のPERに比べ割安。

●長期上昇トレンドは依然継続中、年末におけるトレンドの下限は26,350円、上限は32,650円。

1月の日経平均は一時26,000円割れが目前に、月間では6.2%安と20年3月以来の下落率

2022年の日経平均株価は、年初1月4日に29,098円41銭で寄り付いた後、翌5日の取引時間中に29,388円16銭の高値をつけました。しかしながら、その後は米金融政策正常化の前倒し観測などから投資家のリスク回避姿勢が強まると、日経平均株価は徐々に水準を切り下げる展開となりました。1月27日には、一時26,044円52銭の安値をつけ、26,000円割れ目前の水準まで低下しました。

 

この結果、1月の日経平均株価は月間で6.2%安となり、コロナ・ショックで大幅な株安が進行した2020年3月(10.5%安)以来の下落率となりました。ただ、日経平均株価は1月31日、2月1日ともに、終値ベースで27,000円台を回復しており、年初からの下げは一服したようにも見受けられます。そこで以下、日経平均株価について、現在の立ち位置を検証してみます。

日経平均26,000円付近は売られ過ぎ水準、足元PERは13倍台で欧米株のPERに比べ割安

まず、短期の視点で、相場の過熱感を判断するオシレーター系チャートの1つである「RSI(相対力指数)」を確認すると、前述の26,044円52銭の安値をつけた1月27日時点では29.0%でした。一般に、30%を割り込むと売られ過ぎ、70%を超えると買われ過ぎとされるため、26,000円付近では、買い戻しが出やすかったと推測されます。なお、2月1日時点のRSIは41.6%まで戻っています。

 

次に、日経平均株価の株価収益率(Price Earnings Ratio、PER)をみてみます。PERは、株価が1株あたり利益の何倍まで買われているかを示し、一般にPERの数字が大きければ株価は割高、小さければ割安と判断されます。1月27日時点のPERは13.0倍でしたが、2月1日時点でもまだ13.3倍です。欧米の主要株価指数のPERと比較しても、日経平均株価は相対的に割安であることが分かります(図表1)。

 

[図表1]日米欧主要株価指数のPER

長期上昇トレンドは依然継続中、年末におけるトレンドの下限は26,350円、上限は32,650円

次に、長期の視点で考えてみます。日経平均株価は、2013年5月高値と2018年1月高値を結んだ上値抵抗線と、2012年10月安値と2016年6月安値を結んだ下値支持線によって、上昇トレンドが形成されています(図表2)。これをみると、1月の下落によって下値支持線を割り込むような展開にはなっておらず、日経平均株価のトレンド自体は、まだ上向きと解釈できます。

 

[図表2]日経平均株価の長期上昇トレンド

 

なお、下値支持線を年末まで伸ばすと、3月末は25,000円、6月末は25,450円、9月末は25,900円、12月末は26,350円に位置しており、これらを各時点における下値目途と考えることができます。一方、上値抵抗線も同様に年末まで伸ばすと、順に、31,300円、31,750円、32,200円、32,650円となるため、これらを各時点における上値目途と考えることができます。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『日経平均株価の現在の立ち位置』を参照)。

 

(2022年2月2日)

 

市川 雅浩

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

チーフマーケットストラテジスト

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